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2019.04.05 08:30

ネットフリックスが目指す「働き方改革」 脱・アナログで創造力を後押しする現場づくりへ 


撮影のスケジュール、進行管理は“オンライン”で一括完結

また、今回のセッションでは新たに2つのツールもお披露目された。それがScriptとSchedulingだ。これは撮影の進行管理から“紙”をなくし、すべてオンラインで完結させることを狙ったもの。

撮影を行う際、まずはシナリオに基づいて、どこで撮影するのか、どのシーンに誰が出演するのか、どんな小道具が必要なのかといった情報を取りまとめる。そして、その情報をもとに撮影のスケジュールを組み立てていく。

これまでは紙とペン、定規を使いながら、撮影に必要な情報を整理し、スケジュールを組み立てていかなければならなかった。仮にスケジュールに変更があった際は、修正されたものを印刷し関係者に配布する必要があり、非常に非効率だった。

しかし、ネットフリックスが開発したScriptとSchedulingを活用すれば、非効率的な作業を軽減できる。Scriptにシナリオを書き込んでいけば、出演者に関する情報が自動で抽出される。また各シーンに対して、撮影場所や必要な小道具、特殊効果などの情報も書き込むこことも可能となっている。 Script開発の狙いを、プロダクト・コンテンツ・エンジニアリング ディレクターのクリス・ゴスはこう説明する。

「例えば、ワンシーンを撮影するにしても4つの異なる作業が発生しており、多くの人が撮影に関わるわけです。彼らが簡単に自分の仕事を把握し、効率的に仕事を進めていくために私たちはScriptを開発しました」(クリス)


プロダクト・コンテンツ・エンジニアリング ディレクターのクリス・ゴス

Scriptに書き込んだ情報はSchedulingに自動的に反映され、いつ、どこで、誰が何のシーンを撮影するのか、具体的な撮影のスケジュールがオンラインで手軽に見れるようになる。Scriptに変更を加えた際も、自動でSchedulingにも変更内容が反映されるので、関係者たちも瞬時に変更があったことを把握できる。

撮影のスケジュール調整には出演者の空き日程、撮影場所の空き状況、食事の手配など、さまざまな要素が必要とされる。オフラインでシーンごとに管理するとなると、抜け漏れも生まれやすくなるし、属人的な作業になってしまう。それをオンラインで調整可能にし、一括管理できるようすることで効率化を図ろう、というのがネットフリックスの狙いだ。

「20年前くらいから、撮影の進行管理はオフラインで行われるものでした。私たちは、それをオンライン化して、近い将来誰もが使えるようにしたいと思っています。プロダクションによってはScriptを使わず、Schedulingのみを使いたいと思うかもしれませんが、最終的にはScriptを使うことで、あらゆるメリットを得てもらえるようにしたいです」(クリス)

CPO(プロダクト最高責任者)のグレッグ・ピーターズが「ネットフリックスはコンテンツ企業でもあり、テクノロジー企業でもある」と言っていたが、テクノロジー企業としての強みは、こうしたプロセスの改善にも発揮されている。

素晴らしい作品を生み出し続けていくためには、優秀なストーリーテラーを探す一方で、優秀なプロダクションからネットフリックスと“一緒に仕事がしたい”と思ってもらう必要もある。そのために、ネットフリックスは彼らがより創造的な仕事に集中できるよう、より効率的な制作現場の姿を模索し続ける。

「この分野には、まだまだ改善の余地があります。それは私たちにとって、すごくエキサイティングなことです。ツールの使用を強制することなく、プロダクションの人たちが“使いたい”と思えるようなツールを開発し、提供していきたいと思います」(エイミー)

文=新國翔大

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