ビジネス

2019.04.04

リチャード・ブランソンが語る「失読症が変えた自分」

Photo by Axelle/Bauer-Griffin/FilmMagic


ポジティブな側面

メード・バイ・ディスレクシアと英調査会社ユーガブが昨年行った調査からは、ディスレクシアを良い特徴だと考えている人は4%、ディスレクシアは独創力につながると考えている人は19%しかいないことが示された。

ディスレクシアは今でもブランソンに影響を与えているのだろうか? 「時間をかけて自己教育し、欠点の大半を克服できた」と彼は語る。

しかし今でも、社員が「リチャード的瞬間」と呼ぶ出来事はある。「気球で世界一周を試みていたときのこと。着陸したときに使うレバーがあり、気球をカプセルから切り離すことができた。そこには私のディスレクシアのせいなのか、大きく『リチャード、さわるな』と書いてあった」

「またスカイダイビングをしたときには、パラシュートを開くコードではなく分離するコードを引いてしまったこともある。それがディスレクシアのせいなのかは分からないが、そうした状況で自分を完全に信用できないことは確かにある」

メード・バイ・ディスレクシア創業者で最高経営責任者(CEO)のケート・グリッグスは「世間はディスレクシアによる障害ばかりに焦点を当てており、その思考に大きな強みがあることに気づいていない。ディスレクシアの強みはコミュニケーションだ。多くの情報を取り入れ、それを簡潔に伝えるという素晴らしい能力がある」と語る。

「ディスレクシアの人は全体像を把握し、異なる分野を見渡して他の人には見えないものを見ることができる。また、人の扱いも非常に得意だ。英国の情報・安全保障機関である政府通信本部(GCHQ)は、ディスレクシアの人の考え方や他者とつながる能力の高さを評価し積極的に採用している。社会のディスレクシアに対する認識を変えることで正しい理解を促し、ディスレクシアの人を育て、強みに注力することを奨励する必要がある」(グリッグス)

編集=遠藤宗生

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