2分間のショートプレゼンでビジネスをアピール
今回のピッチは1社2分間。極めて短い時間で、どれだけビジネスの特徴や優位性、将来性、採算性、社会性をアピールできるかが問われる。
第1部では ∞ Laboが採択したアラヤ、Momo、TAAS、ビビッドガーデン、ヤマップ、Telexistence、Synamonがピッチで自社のビジネスをアピールした。審査員が最優秀賞の「KDDI ∞ LABO賞」を、スマートフォンによる会場投票で「オーディエンス賞」を決める。
KDDI ∞ LABO賞は人工知能の深層学習や機械学習を応用したシステム開発を手がけるアラヤ(東京都港区)が、オーディエンス賞は農家と消費者をネットで結ぶ農作物のマーケットプレイスを展開するビビッドガーデン(東京都渋谷区)が、それぞれ選ばれた。
アラヤは2018年8月にKDDIと共同で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進める「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」プロジェクトの「革新的AIエッジコンピューティング技術の開発」に採択された実績がある。同プロジェクトでは、AIによるドローンの自律制御などを実現する情報処理に取り組んでいる。
ビビッドガーデンはオーガニック農作物の一般向けオンライン直売サービス「食べチョク」や、飲食店向けの直送食材仕入れサービス「食べチョクPro」などを開設している。
初のマッチングピッチで全社にオファーが
注目の第2部では「Innovation Gateway ビジネスマッチングピッチ」と題して、大企業とスタートアップ企業を結ぶ公開ビジネスマッチングを開いた。出場企業は ∞ Laboパートナー企業15社の代表者の前で、第1部と同様に2分間のピッチを披露。パートナー企業の代表者はその場で出資や事業提携などを申し出る。ピッチ同様「即断即決」型のマッチングイベントだ。
体験型スポーツゲーム施設「レジェンドスポーツヒーローズ」の展開を目指すレジェンドベースボール(東京都新宿区)が出資を獲得するなど、ピッチで登場した8社すべてに今後の資本参加や商談につながるオファーがあった。∞ Laboでは初めてのマッチングピッチは成功したといえそうだ。
KDDIの中馬和彦∞ Labo長は2018年度の活動を振り返り、「スタートアップ企業を支援する大手企業のパートナー連合は32社に増えた。採択した企業は66社、事業連携も60件を超えている」と成果を明らかにした。2019年度は第5世代(5G)移動体通信技術のサービス開始をにらんだ「5Gプログラム」をスタートする。
中馬∞ Labo長は「4Gはスマホで皆がつながったが、5Gは皆がスマホだけでなくリアルともつながっていく。ネット対リアルではなく、ネットとリアルが融合する」と、IoT(モノのインターネット)が当たり前になるビジネス環境を想定している。5G技術の応用で成長が期待できるスタートアップ育成が焦点になりそうだ。
M&Aをもっと身近に。M&A Onlineの記事をもっと読む>>