世界の「レイプ被害者」を救う、ハーバード出身女性の夢

アマンダ・グエン(Photo by Vivien Killilea/Getty Images for MAKERS)

ハーバード大学の在学中にアマンダ・グエンはレイプ被害に遭った。それと同時に、米国の刑事司法制度の欠陥に気づいた。

6時間に及ぶ事情聴取の間に彼女は、マサチューセッツ州では6カ月ごとにレイプ事件の証拠が破棄されていることを知った。レイプ犯罪の時効が、15年間と定められているにも関わらずだ。

「この不当な法制度を受け入れるか、それとも法に立ち向かうかの選択を迫られた。そして私は、自ら立ち上がることを選んだ」とグエンは話す。

2014年に彼女はNPO団体の「Rise」を設立し、性犯罪被害者の権利回復の運動を開始した。Riseの運営を通じ、グエンは米国の「Sexual Assault Survivor Bill of Rights(性犯罪被害者の権利回復法案)」をまとめ、2500万人に及ぶレイプ被害者の権利を法律に成文化する動きを進めた。

この法案は被害者の法的権利を明確にし、正当な医療ケアや法の保護を受けられるよう導くものだ。さらに、被害者らが証拠にアクセスする権利を与えている。Riseは2016年以降、20以上の法案を成文化することを助けてきた。

Riseにフルタイムで関わる以前に、グエンは宇宙飛行士を目指してハーバードで学び、ホワイトハウスの連絡係として米国務省の業務をこなしていた。その後、2016年にオバマ大統領がSexual Assault Survivor Bill of Rightsに署名した時、彼女は世界中のレイプ被害者たちから感謝のメールや手紙を受け取った。

「私たちは新たなムーブメントを起こすべきだと考えた」とグエンは話す。「そして私はオバマ政権の仕事を離れ、Riseの運営をフルタイムで行うことに決めた」

グエンは非営利組織であるRiseの運営を、他のスタートアップ企業と同様な気持ちで行い、被害者や支援者を励まし、米国中の議員らに働きかけを行っている。

「私がRiseの運営を通じて学んだのは、全てのソーシャルインパクトを目指す企業は、組織のシステムの整備に絶え間ない努力を注ぐ必要があることだ」とグエンは話す。彼女はキャンペーン活動だけでなく、チーム内のミーティングや予算の管理、適切な目標設定を行うことが重要だと述べた。

Riseが新たな目標として掲げるのが、Sexual Assault Survivor Bill of Rightを全米50州で可決させ、このムーブメントを世界規模に拡大することだ。Riseの調べでは、世界の女性の35%に及ぶ13億人が性犯罪の被害者だという。

「この現実を受け入れるか、法律を変えるかの選択肢がある。私たちは、変化を起こすために立ち上がった」とグエンは話した。

編集=上田裕資

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