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2019.05.24 08:00

次世代の野菜づくりを担うインドア農業、「Square Roots」の野望

Yein Jeon / shutterstock.com

食の世界でもオートメーションやデータ解析などの技術革新が進む中、都市型のインドア農業に注目が集まっている。

ニューヨークのブルックリンを拠点とする「Square Roots」は、2016年創業のインドア農業プラットフォームだ。環境制御された輸送用コンテナの中で遺伝子組み換えでない無農薬のハーブを水耕栽培するとともに、次世代の生産者の育成を行っている。

「(コンテナを使ったインドア農業の)利点は農産物が市場に並ぶまでのスピードだ」とCEOで共同創業者のトバイアス・ペッグスは話す。

「大型の植物工場や温室を建てるには莫大な資金と長い年月が必要だが、モジュラーコンテナを使えば3ヶ月で新しい畑を手に入れることができる。しかも、駐車場や廃工場などに設置することで、既存の都市環境を活用できる」

ブルックリンのコンテナで年間を通して栽培されるハーブは、収穫後24時間以内に地元の食料品店の棚に並び、地産地消の意識が高い都市生活者のもとに届けられる。消費者はファームツアーに参加して生産現場を見学することも可能だ。

コンテナを使ったインドア農業では、市場の需要に合わせて生産量を増やすことも比較的容易だとペッグスは語る。「Square Roots」のコンテナ1台あたりの1週間の収穫量は約45キロ。生産者は収穫量に見合う数のコンテナを用意すればいい。

「その都度、必要最低限の資金や技術を投入するだけで済むから非常に効率的だ。特にテクノロジーは進化のスピードが速いため、最新の技術を導入した大規模な農場を何年もかけて準備したところで、オープンする頃には時代遅れになりかねない」

Square Rootsのすべてのコンテナのデータはクラウドで共有されており、コンテナの台数、栽培物の種類、環境のバリエーションが増えれば増えるほど、最適な栽培方法の確立が可能になる。

実際、データ解析によりペッグスらはバジルの植え付けから収穫までの期間を50日から28日に短縮することに成功している。現在、同社の作物はハーブが中心だが、年内にはいちごやトマトの生産も始めるという。

ペッグスの目標は、世界中の都市生活者に地元産の良質な食材を提供すること、そして次世代の都市型農家の育成だ。これまでもインドア農業を始めたい人々を対象にトレーニングプログラムや技術提供を行ってきたSquare Rootsだが、この3月にさらなる事業拡大を目指し、食品流通大手の「Gordon Food Service」とパートナーシップを締結した。

「Gordon Food Serviceは北米の広範囲に流通網を持ち、米国内に175カ所のサービス拠点を持つ年商150億ドル(約1兆6600億円)企業だ」とペッグスは語る。

「今回の提携を通じ、北米各地にあるGordon Food Serviceの店舗や配送センターの近くでSquare Rootsのキャンパス(農産物の栽培と生産者育成の拠点)を立ち上げる予定だ」

編集=海田恭子

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