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2019.04.05

AIハードウェア企業SambaNova、グーグルとインテルから160億円調達

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AI(人工知能)関連のハードウェア開発を行う「サンバノバ・システムズ(SambaNova Systems)」が1億5000万ドル(約167億円)のシリーズB資金調達を実施した。出資元はインテルキャピタルと、アルファベットの投資部門のGV(旧グーグルベンチャーズ)だ。

自動運転やスマートスピーカーの利用が広まるにつれ、AIをより迅速に効率的に運用するハードウェアが求められている。エヌビディアやインテルらはAIに特化したチップ開発に乗り出し、アップルやグーグル、アマゾンらも自社製のAIチップを開発した。

AI領域では様々な企業が巨額の資金調達を実施しているが、インテルとアルファベットの2社から同時に支援を受ける企業は稀だ。SambaNovaのチームは、ハードとAIソフトの双方に高い知見を持っている。

スタンフォード大学教授のKunle OlukotunとChris Réの2名に加え、サンマイクロシステムズとオラクル出身の半導体エンジニアのRodrigo Liangらが立ち上げたSambaNovaは、既存のシステムやハードウェアに改良を重ねても、この分野のブレークスルーは生み出せないと述べている。

次世代のAIシステムの構築には、「ハードとソフトの双方を一から組み上げる必要がある」というのがSambaNovaのビジョンだ。

「AIをスケールさせるためには、根底から設計を変えたハードが必要だ」とLiangは話す。

同社は今から約1年前に、5600万ドルのシリーズAを実施したが、当時50人だったチームメンバーは現在100人を突破した。彼らはプロダクトの発表スケジュールに関し、固く口を閉ざしているが、CEOのLiangはフォーブスの取材に、新たな資金で開発を加速させると話した。

GVのパートナーのDave Munichielloは、エヌビディアのGPUの利用が広がる中で、SambaNovaが目指す「ソフトウェア定義型ハードウェア」というアプローチに魅力を感じたという。

「SambaNovaのアプローチなら、既存のGPUを上回るパフォーマンスを引き出せる」とMunichielloは話す。「彼らの役員会でデモを見せられる度に、ゾクゾクするような思いになる」と彼は続けた。

SambaNovaのチームは、プロダクトの価格についても一切明かしていない。しかし、インテルとアルファベットの2社が出資を行ったことで、同社がターゲットとする市場がいかに巨大であるかが見えてくる。

インテルキャピタルCEOのNick WashburnもSambaNovaの、ソフトウェア定義型のアプローチに魅力を感じたという。「彼らのシステムは柔軟で効率的で、スケール可能なソリューションだ」と彼は話した。

インテルキャピタルはAI領域で、Habana LabsやUntether AI、中国のZhuhuia EEasy Electronicsなどに出資している。

一方でGVにとってSambaNovaは、AIハードウェア関連では初の出資先だ。GVは昨年のシリーズAの際にも、SambaNovaの資金調達を主導した。GVはチップメーカーのLightmatterにも出資を行っている。

編集=上田裕資

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