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2019.04.03 18:00

リフト株価急落で見えてきた「テックバブルの終焉」

(Photo by Mario Tama/Getty Images)

米配車サービス大手の「リフト(Lyft)」は3月29日、米ナスダック証券取引所に上場した。当日の初値は87.24ドルとなり、時価総額は一時的に250億ドル(約2.8兆円)に達した。

しかし、週明けの4月1日の市場ではリフトの株価は29日の最高値から20%も下落した。同社の企業価値は昨年6月の資金調達時には151億ドルとされていた。リフトの出資元は、わずか9カ月間で60%もの含み益を得たとされた。

ここで注意したいのは、リフトの昨年の売上高が22億ドル程度であり、9億ドルを超える赤字を計上していることだ。さらに重要なのは、同社の赤字額が2017年から3割強も増えている点だ。

リフトは今後の7年間で黒字化を果たし、巨大な企業価値を正当化すると述べている。しかし、同社は設立されてまだ7年の会社だ。同社の前途には様々な困難が待ち構えている。変化し続けるテクノロジーや法規制の中で、リフトがこのまま順調に成長を遂げ、黒字化を果たすと考えるのは、楽観的すぎるかもしれない。

企業価値の観点からいうと配車サービス企業らは現在、分不相応な巨額のバリエーションを得ている。米国のレンタカー大手3社(エンタープライズ、ハーツ、エイビス)の時価総額の合計は現在約100億ドルだ。

これに対し、今後上場するウーバーの時価総額は1200億ドル(約13兆円)とされ、配車サービス2社の企業価値はレンタカー大手3社の合計の14倍にも達している。レンタカー企業らは、配車サービスに殺されたような評価を受けている。

しかし、配車企業らが今後長期的な成功を収め、規模をスケールさせるためには、車両の供給やマネージメントをレンタカー企業に頼る必要も出てくるだろう。

現状の配車サービス企業らが受けている評価は、現実とは乖離したものといわざるを得ない。ウーバーやリフトらは、シリコンバレーの追い風を受けてここ10年ほどの間で急成長を遂げてきた。しかし、現在はその追い風がやみつつある。

筆者が今考えているのは、リフトのIPOがシリコンバレーの輝かしい時代の終止符となってしまう可能性だ。

編集=上田裕資

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