アメリカ史上初のプロ野球リーグ公式戦が行われた球場を知っていますか?

写真=インディアナ州立博物館


この街の球史は古く、1860年代には既に、ケキオンガ・ベースボール・クラブという球団があった。ケキオンガとは、17世紀半ばに、先住民がこの地域につくった集落の名前。この球団は、1869年に史上初のプロ野球球団シンシナティ・レッド・ストッキングスと2試合対戦した記録がある。フォートウェイン遠征中に一文無しとなったボルチモアのメリーランド・ベース・ボール・クラブから主力選手を集めてフォートウェイン・ケキオンガスが結成され、1871年にナショナル・アソシエーションに創設メンバーとして加盟した。
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1876年にナショナル・リーグ、1900年にアメリカン・リーグが創設されたが、それよりも前の1871年に史上初のプロ野球リーグ、ナショナル・アソシエーション・オブ・プロフェッショナル・ベースボール・プレイヤーズ(ナショナル・アソシエーション)が誕生した。ナショナル・アソシエーションは、プロ球団を寄せ集めただけのリーグで、八百長行為が横行するなど様々な問題を抱えていた。運営基盤の弱い小都市のチームが無計画に加盟してはすぐに破綻した。1875年には6球団がシーズン途中に脱退するなど、球団の出入りが激しかかった。現在シングルA級のマイナーリーグ球団しかないフォートウェインにメジャーリーグ球団が存在したのは、そんな時代背景があったからだ。

ゲギオンガズのユニフォーム
インディアナ州ジャスパーにあるインディアナ野球殿堂博物館に展示されたゲギオンガズのユニフォーム(著者撮影)。

今回訪れた球場跡地には、1860年代、南北戦争の際に徴兵された兵士たちが集まるキャンプ・アレンという軍の駐留地があった。1860年代後半、ここに木造のスタンドが建てられ、ケキオンガ・ボール・グラウンズという野球場が完成した。ケキオンガスのナショナル・アソシエーションへの加盟に伴い、プロ野球球場として本格的に整備されたが、球場の飾り付けがとても豪華だったため「グランド・ダッチェス」(威厳のある公爵夫人)と呼ばれるようになった。
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ナショナル・アソシエーションの開幕戦、つまり、記念すべきアメリカ史上初のプロ野球リーグによる公式戦は、ワシントン・オリンピックスとスター軍団のボストン・レッド・ストッキングスとの間で行われる予定だった。しかし、ワシントンDCを襲った暴風雨のために中止となり、1871年5月4日、フォートウェイン・ケキオンガス対クリーブランド・フォレスト・シティーズ戦が代わりに開催されることになった。しかし、当日は悪天候のため、観客は僅か200人。試合時間はちょうど2時間。ケキオンガスは、後にメジャーリーグで通算298勝(殿堂入りしていない投手としては最多勝利)を記録するボビー・マシューズの完封により、フォレスト・シティーズに2対0で勝利し、アメリカのプロ野球リーグにおける最初の勝利チームとなった。なお、マシューズは、キャンディ・カミングスなどと共に、カーブ・ボールを最初に投げた投手の一人と言われている。
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文=香里幸広

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