アメリカ史上初のプロ野球リーグ公式戦が行われた球場を知っていますか?

写真=インディアナ州立博物館


その後、ケキオンガスの試合には、観客が思うように集まらず、経営が悪化し、選手たちの人件費を支払えなくなり、ボルチモアの選手も次々と故郷へ帰ってしまった。結局、ケキオンガスは、同年8月までに19試合(うち本拠地では9試合)消化し、7勝12敗の記録を残しリーグを脱退したため、ニューヨークのブルックリンにあったエックフォーズがナショナル・アソシエーションに参加し、ケキオンガスの残りのスケジュールを消化した。球場は、プロ野球の本拠地として1年も使われず、同年11月の火災によって崩壊、翌年に解体され、宅地などのための区画整理が行われた。

跡地にある公園には、子供向けの小さな遊具があるだけで、記念碑などはなかったが、そこから2キロ離れたダウンタウンの北側にあるヘッドウォーター・パーク内に記念碑があるというので、行ってみることにした。これまで記念碑を探し求めて、数多くの球場跡地を訪れたが、目当ての記念碑を探すのは容易なことではない。何時間もかけて探しても見つからないこともある。

ヘッドウォーター・パークは広大な公園で、探し出すまで相当苦労すると覚悟を決めていたが、現場に到着すると唖然とした。公園には仮設遊園地ができており、家族連れ、若いカップル等で大賑わい。ジェットコースターがガラガラと音を立てながら頭上を通るたびに、絶叫が聞こえてくる。何度も何度も仮設遊園地の中をグルグルと回った。そして、ようやく、仮設観覧車の後方に記念碑を発見した。

しかし、そこにあったのは、ケキオンガ・ボール・グラウンズとは別の球場、リーグ・パークの記念碑だった。碑文を読んで驚いた。ヘッドウォーター・パークの東にあったリーグ・パークで、1871年5月4日にプロ野球リーグにおける最初の試合が行われたと書かれていたが、これは大きな間違いだ。初めての公式戦が行われたのは、リーグ・パークではなく、ケキオンガ・ボール・グラウンズであり、リーグ・パークがあったのは、ヘッドウォーターズ・パークの東ではなく、西のアレン郡刑務所近くだ。この球場は、刑務所近くにあったため、ジェイルハウス・フラッツとも呼ばれていた。

こうした記念碑の碑文に誤りがあるのは珍しい。正直、がっかりした。こんなインチキな記念碑を作るなんて、地元の人々の愛情が不足しているのではないか、そんなことも考えてしまった。しかし、それから1年後、それが大きな誤解だったことに気づくことになる。やはり、この街でも、この歴史ある球団を誇りにしていた。

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再び訪れた2017年には、立派な記念碑があった(著者撮影)。

フォートウェインでアメリカのプロ野球リーグでの初めての公式戦が行われてからちょうど146年後の2017年5月4日、ケキオンガ・ボール・グラウンズ跡地に新たに記念碑が設置されたのだ。この知らせを聞き、再び、フォートウェインに行ってみたところ、キャンプ・アレン・パーク内にとても立派な記念碑が完成していた。球場跡地に正真正銘のホンモノの記念碑が建ったのだ。記念碑の表面には、ここでプロリーグ初となる歴史的な試合が行われたことや、その試合のラインナップとスコアなどが刻まれていた。薄気味悪かった周辺の住居は、なんとなく小奇麗になった気がした。若者に睨まれることもなかった。

連載:「全米球場跡地巡り」に感じるロマン
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文=香里幸広

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