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──制作に数ヵ月かけても、失敗してしまったら最初からやり直す事にしているそうですね。そんな長期にわたる作品づくりを可能にしている小島さんの「パッション」とは?

純粋に自分が「やりたい」と思ったことに没頭し続けていることだと思います。制作には集中力や根気が必要だったり、時間がかかったりもしますが、誰にやらされているわけでもない。自分が大好きで楽しいと感じていることなので、まったく苦ではないですね。

失敗したら最初からやり直すのは、もう執念です(笑)。

ただ、気持ちはいつでもポジティブでいられるように気をつけています。気持ち次第で時間の過ごし方が変わってきますから。

作品と向き合う中で一番心踊る瞬間は、何ヵ月もかけて切り抜いた作品を初めて下絵から剥がす時。毎回自分の想像とは違う部分があるんです。持って見たときにできる影とか、想像していたのと見えかたが違ったりするのが面白くて。下絵から剥がして展示すると、また違う表情を見せてくれるので、毎回わくわくします。


制作は好きな音楽を聴きながら。愛用する日本製のナイフの刃は2、3分に一度交換する(courtesy of Solo Kojima)

──最後に、小島さんが理想だと考える「未来」とはどんなものか教えてください。

誰もが、心からやりたいと思えることがやれること。みんながやりたいことに没頭できる場所を見つけられる、そんな未来がいいですね。

やりたいことをやり続けるためには、まず自分を信じること。そして、ブレないことが大切です。

私はデザインの勉強をするためにロンドンに渡った12年前に、ずっとつくり続けてきた切り絵で生きていこうと決めました。5年だけ頑張ってそれでも切り絵で食べていけないようなら諦めようと。そこからたくさんのコンペに応募したりしましたが、「選ばれるため」の作品づくりは絶対にしませんでした。

あくまでも自分がつくりたいものをつくる。たとえ選ばれなくても、そのほうが自分は幸せでいられるから。それを繰り返しているうちに、5ヵ月かけて作った作品「Cloud Leopard(雲豹)」がサーチ・ギャラリーで選ばれ、「大好きな切り絵で食べていく」という道が拓けていきました。


現代切り絵アーティストの小島奈保子(coutersy of Solo Kojima)

海外に出てみて初めて、自分の作品を認めてくれる場所があったと思えました。それでもアーティストとして認められて活躍している女性はまだまだ少ないと感じます。もっともっと女性アーティストにも頑張ってほしいです。

これからも、自分のスタイルや自分らしさを追求して、常に誰も見たことのないような新しいものに挑戦していきたいですね。基礎を習うことは大切ですが、そこからどう自分だけのスタイルに変えていくのかはもっと大切。常に新しいものを生み出していきたいです。


小島奈保子◎現代切り絵アーティスト。5歳から切り絵を学び、デザインの仕事などを経て2005年からロンドン在住。2012年にサーチ・ギャラリーに出品された「Cloud Leopard(雲豹)」が話題となり、翌年には「Byaku」がクラフトアートの展覧会「Jerwood Makers Open」でアートアワードを受賞。15年には、ファッションブランドのブルガリと共同で16メートルの作品を制作。18年には32メートルもあるシロナガスクジラをモチーフにした「Shiro(白)」を制作し大きな話題に。「Byaku」は都内(INTERSECT BY LEXUS)で19年4月23日まで公開中。

構成=松崎美和子 イラストレーション=Luke Waller

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