クシュタールはカナダや米国、欧州で「サークルK」の運営を行っており、フォルタンは現在も同社の役員を務めている。3月19日発表の決算で、クシュタールは好調な業績をアナウンスし、トロント市場に上場する同社株は78.55カナダドル(米ドルで約58.49ドル)に上昇した。
現在の株価は昨年から35%以上の値上がりとなっている。2018年4月までの1年間の、クシュタールの世界の売上は500億ドル(約5.6兆円)を突破し、純利益は17億ドルに及んでいた。
アナリストらはクシュタールの株価上昇は今後も続くと見ている。同社は8700カ所近くのガソリン給油所を運営しており、今後のEV(電気自動車)の普及で、クシュタールの業績はダメージを受けるとの見通しもある。
しかし、クシュタールの店舗でのマーチャンダイジング売上は直近の4半期で、カナダで前年比4.9%増、米国で4.5%増という堅調な推移だった。
アナリストらはガソリン給油所で特に売上を伸ばしているアイテムとして、電子タバコの「Juul(ジュール)」をあげている。サンフランシスコ本拠のJuulは2015年の登場以降、急激にシェアを伸ばした。
クシュタールの店舗でのタバコ関連製品の売上は、前年比で6%増となった。同社は、電子タバコに新たなフレーバーが加わることで、今後もこの分野の成長が続くと見込んでいる。
さらに、クシュタールは競合チェーンの買収によって企業価値を高めている。2017年12月には、米国で約500店舗を展開するHolidayグループを16億で買収した。クシュタールは、同じ業態のコンビニを統合することで、コストを削減し、利益を30〜50%拡大するシナジー効果を生んでいる。
フォルタンは金融畑の出身で、フランスのソシエテ・ジェネラルのカナダ支社に13年勤務した後、1984年のクシュタールの設立に参加した。その後、競合のコンビニチェーンを次々と買収した同社は2000年頃には、カナダで1600店舗を運営する業界最大手となった。
2001年にクシュタールは米中西部のBigfootを買収し、米国市場に進出した。現在、同社は米国においてサークルKや、Corner Store、Kangaroo Express、Holidayらの合計7800店舗を運営中だ。
ゴルフとフィッシングを愛するフォルタンは、クシュタールの株式の約12%を保有している。既にビリオネア入りを果たした同社の共同創業者のAlain Bouchard (資産38億ドル)と、Jacques D’Amours (資産19億ドル)らはそれぞれ、同社株の44%と24%を保有している。