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JAMAとハート誌の研究は、比較的きちんと実施された人口コホート研究かもしれない。しかし、こうした調査には一般的に多くの欠陥があり、因果関係を確実に示したり証明したりすることが絶対にできない。研究者らは大規模なデータを用い、それから比較的シンプルな相関関係や関連性を導き出そうとする傾向があるからだ。

しかし、食品と心臓血管系の病気の間には複雑なシステムが関わっていることが多く、こうしたシステムの多くは分析で考慮されていない。仕事のストレスや社会的状況、環境などはどうだろう? こうした要素は個人の食生活だけでなく、心臓血管系のリスクに影響を与え得る。また、人は卵だけを食べるわけではない。卵を多く食べる人はベーコンを食べることが多いかもしれないし、調理方法によっても健康な食べ方と不健康な食べ方がある。

JAMAの研究は対象者の食生活を決める上で、最初に集めた一度きりの自己評価に依拠している。自分が何を食べているかを思い出すのは難しい場合もあるし、食生活は非常に複雑で、時間とともに変化する可能性もある。

栄養面での推奨事項をまとめるのに、これほど大規模な人口コホート研究に頼り過ぎるのは間違ったアプローチだと言える。卵に関する一般的な見方は、これまで長い間堂々巡りを続けている。大規模コホート研究では間接的な証拠しか示されないことがその理由だ。それにもかかわらず、こうした調査が発表されるたびに「卵は悪い」「卵は良い」などの言葉が見出しとなる。コーヒーなどの食品・飲料も同様だ。

私は、科学・技術・医学の3学会から構成される全米アカデミーズ(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)に参加している。同団体は2017年、米国人のための食生活指針を決定するプロセス見直しのため委員会を招集し、よりシステム的な手法を使うことを推奨事項とした。

天気やロケットの発射を考える際、気象学者や航空宇宙エンジニアは1、2個の要素に注目するのではなく高度なコンピューターモデルを構築して何が起きるかをシミュレーションする。栄養研究でも、同じことをより広範囲にわたり実施する必要がある。

そのため現時点では、卵をいくつまで食べられるか、食べるべきかについて一般的な推奨事項を策定することはやめよう。推奨制限値は多くの要素によって変わり、おそらく人によっても違うだろう。一般的には、適度な量とバランスが健康的な食生活の鍵だ。

卵には、重要な栄養素だけでなくコレステロールも含まれることを覚えておくこと。卵をいくつ食べるかの決断は、他の栄養素の摂取源や卵の食べ方にも左右される。食品のさまざまな側面と健康への影響を結ぶ複雑なシステムについては、まだ学ぶことが多い。こうした点を受け、栄養学調査の実施方法が変化すればよいなと思う。

翻訳・編集=出田静

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