「2度目のチャンス」を提供したい
起業にあたってジョーブは、犯罪歴のある人たちに2度目のチャンスを与える企業となることを決めていた。同社で働く従業員45人のうちおよそ4人に1人が、刑期を勤めた人だという。さらに、彼らは働くチャンスを得るだけではない。ストックオプション制度を通じて、自社の所有権の一部を取得することができる。
麻薬の売人やギャングのメンバーだった人が職に就くことを難しくしているのは、企業の警戒心だ。就職できないことが、こうした人たちの再犯率を高めることにもつながっている。非営利団体プリズン・ポリシー・イニシアチブが昨年行った調査によれば、刑期を勤めたことがある米国人は推定500万人以上。そのうち27%以上が失業していた。
米国では再犯防止を目的として、求職者に過去の犯罪歴を尋ねることを禁止する州が増えている。カリフォルニア州などで施行されているこの法律は、企業が用意する応募用紙に犯罪歴を尋ねるチェックボックスを含めることを禁じるもので、「Ban the Box(ボックス禁止)」と呼ばれている。
これは、少年院に収容されている若者たちの指導も行っているジョーブにとって、他人事ではない話だ。
ジョーブは、「私も彼らの一人だった。機会を与えてもらえたから、リーダーシップを発揮することができた」と語る。
「人の将来が、その人の過去に基づいたものである必要はない」