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若かったころのダレル・ジョーブの人生は、困難に満ちていた。カリフォルニア州リッチモンドで育ったジョーブは、8年生で学校を中退。ギャングのメンバーに加わった。

10代のころは、少年院を出たり入ったりしていた。14歳の時には自動車の窃盗で、その後にも盗まれた銃を所持していたことで、少年院に収容された。それでもジョーブは、23歳になるころにはこう決意していたという。

「人生を変える。一緒に過ごすことが少なかった自分の父よりも、良い父親になる」。

ジョーブは今も、ギャングの一員だったころのこと、銃を撃ち合ったこと、少年院を出入りしていたころのことを覚えている。

「これが自分だ。でも、こうなりたかったわけじゃない」──そう思っていた。

独学でエンジニアに

企業は一般的に、犯罪歴のある人や元ギャングのメンバーを採用したがらない。ジョーブも職探しには苦労した。友人の父親の助けを借り、時間のかかる性格検査を受け、忍耐力を保ち、ようやく働き口を得たのは、包装材を扱う企業だった。

現在39歳のジョーブが起業したのは、2015年のことだ。発泡スチロールなどに代わる持続可能で環境にやさしく、保冷機能がある包装材を開発するため、自ら企業を興した。

発泡スチロールなどが環境にどれほど有害であるかに関する認識が高まり、使用を禁止する地域が増える中、ジョーブが立ち上げたベリクール(Vericool)は急成長を遂げている。

カリフォルニア州リバモアを拠点とする同社の売上高は今年、昨年の200万ドル(約2億2100万円)をから大幅な増加となる1000万ドルを見込んでいる(ベリクールはこれまでに、欧州の包装材大手ビレリュードコーシュネースのベンチャーキャピタル部門などから、1000万ドルを調達している)。

また、同社は現在、スタートアップや複数の製薬会社から総額4000万ドル以上の売上高が見込める注文を受けており、ニーズに対応するため生産能力の引き上げを急いでいる。

環境にやさしい保冷機能付きの包装材を開発し、妥当な価格で販売するのは容易なことではない。リサイクル可能で堆肥にもできる使用済みの植物繊維を原料に決めるまでに、ジョーブはでんぷん、ヤシ殻、竹、ほし草など、さまざまな素材を試した。独学でエンジニアになった彼は、これまでに30件の特許を出願。そのうちすでに、5件を取得している。

編集=木内涼子

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