フェイスブックは今後、人種に基づく広告のターゲティングを行わないと述べたが、この施策はどのような影響を同社のビジネスに与えるのだろう。
ターゲティング広告そのものは、オンラインプラットフォームで広範囲に行われてきた試みだ。しかし、人種間の住宅の不平等の撤廃を目指すナショナル・フェア・ハウジング・アライアンス(NFHA)や、米国自由人権協会(ACLU)は、広告の表示対象から特定の人種を除外することは、米国の公民権法に違反していると抗議した。
フェイスブックのシェリル・サンドバーグCOOはブログの投稿で「このような差別的措置は、フェイスブックのプラットフォーム上に存在すべきではない」と述べた。同社は今後、住宅の賃貸や雇用、金融ローンの広告において年齢や性別、郵便番号によるターゲティングを出来なくする。
フェイスブックは昨年、560億ドル(約6.2兆円)近い売上をあげたが、そのほとんどは広告によるものだ。今回の措置が導入されて以降も、同社のビジネスモデルに変化は起きないだろう。
ケンブリッジ・アナリティカ問題の発覚以降、フェイスブックは不適切な個人情報の取り扱いを非難されてきたが、データ流出の問題においても有色人種や低所得者層のデータの取り扱いの不備が指摘されてきた。
背景にはフェイスブック社内のダイバーシティに問題があることもあげられる。同社の幹部に占める黒人の比率はわずか3.5%で、ヒスパニック系の比率も5%以下だ。このような状況が、フェイスブックのプロダクトの人種的不平等を引き起こしている。
フェイスブックは同社に対して抗議の声をあげたグループを招き、インスタグラムやメッセンジャーの運用を適正化する試みも行っている。彼らは今後の3年間で年に2回、外部団体とのミーティングの機会を設けると述べている。さらに、広告ターゲティングの基盤となるアルゴリズムの見直しも行うと宣言した。
しかし、フェイスブックは今後さらに合衆国住宅都市開発省による厳しい査察に直面することになる。