その他の全てのことと同じように、「幸福さ」は経済が力強く成長し、インフレ率と金利が低く抑えられ、そして十分な雇用があるときに広く行き渡ると考えられる。
「悲惨指数(Misery Index、ミザリー・インデックス)」は1960年代、経済学者のアーサー・オークンが当時のリンドン・ジョンソン米大統領に世界の経済情勢を分かりやすく説明するために考案したものだ。
当初は各国の年間インフレ率と失業率を加算した簡単な指数だった。その後、ハーバード大学のロバート・バロー教授(経済学)や筆者(ジョンズ・ホプキンス大学・応用経済学部教授)が数回の修正を加えてきた。
現在の悲惨指数は、失業率とインフレ率、銀行の貸出金利を足し、そこから1人当たり実質国内総生産(GDP)の変動率を差し引いた数値となっている。指数が高いほど、国民は「悲惨」だということになる。
指数は一貫性と比較可能性を維持するため、一部の例外を除いて全て、英誌エコノミストの調査部門、エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのデータに基づき算出している。
以下、調査の結果に基づいて割り出した「最も悲惨」な国とその対極にある2カ国を紹介する。
最も幸福な国
・タイ
2018年版の「悲惨指数ランキング」で、調査対象とした95カ国のうち最下位となったのはタイだった。軍事政権は国民に「幸福」をもたらしてきたのだろう。3月24日に行われた総選挙では、親軍政党の「国民国家の力党(PPRP)」が最も多くの票を獲得したとされている(ただし、実際の得票数については異論もあり、選挙後には混乱が続いている)。
・ハンガリー
ハンガリーは前回の調査から大幅に順位を下げ、世界で2番目に「悲惨ではない国」となった。欧州連合(EU)や各国のエリートたちは(EUの移民政策を巡り)同国のオルバン・ヴィクトル首相を厳しく非難しているが、国内での支持率が高い理由は、この結果に現れている。
なお、ハンガリーに続く93位は日本だった。