「香害」問題と、たしなみの極意。それは「ウェスト」がキーワード
香害という言葉が良く聞かれるようになった。バスや電車、部屋など密閉された空間で香水をつけすぎていると迷惑だという話だ。ごもっともである。冒頭に示したとおり、香水は「自己アピール」のひとつであるはずのものが、自らをおとしめてはならない。
ちなみに、時代を投影してか、佐藤いわく「市場でもユニセックス、ジェンダーレスな香りが多くなってきています。男性向けの製品でも、昔ほどマッチョな香りではないですね」という。とはいえ、つけすぎるとアウトだ。ではどうすればいい?
「脈打つ所、というのは良く言われていますが、〈うなじ〉も〈手首〉も、つけるととても良く香るため、つけすぎは禁物です。男性ではむしろ香りをもっと謙虚に。私がおすすめしているのは『ウェスト』です。服を着る前に、ウエストにワンプッシュです。一番まろやかにさりげなく香らせられますね。体の真ん中という位置は、鼻からも適度な距離がありますし、動いた時にさりげなく感じることができます」
確かにこれはベストかもしれない。佐藤によれば実は新しい付け方ではなく、昔から言われていたやり方だという。また、よく聞く、シュッと一吹きしてその中をくぐるというのは「香りは基本的に下から上に香り立ちます。体の上部だけだと、せっかく香りをつけたのにもったいないですね」ということだ。香害問題をさけるためにも、王道のウェストを実践しよう。
独断と偏見のラインナップ
男性の場合は、謙虚に、自らの存在感を印象づけることを忘れないでほしい。そして、「ウェスト」だ。ここでブルーベル・ジャパン佐藤に教えを乞うたアイテムからいくつかピックアップした商品を紹介しよう。
メゾン フランシス クルジャン
Maison Francis Kurkdjian Paris
スターパフューマーと呼ばれる天才的な調香師フランシス・クルジャンの新作。世界的な注目を集める新進のブランドだ。「ジェントル フルイディティ」というジェンダーを超えるテーマがなんとも現代的で、女性向けでも男性向けでもない、ジェンダーを超えたフレグランス。右(シルバー)はアロマティックでウッディなノートを持ち、左(ゴールド)はムスキーなオリエンタルなノートを持つ。共に70ml 税別2万4600円
ブルガリ プールオム オードトワレ
BVLGARI POUR HOMME EAU DE TOILETTE
1995年の発売以来ずっと売れ続けている王道の香水。女性からの支持も非常に高い。「ダージリンティ」を使ったのが特徴的でスパイシーながら爽やかな印象。ビジネスシーンにもマッチするとてもバランスの良い香りだ。BVLGARIは男性向けも多数の商品があるが、どれも成功している稀有なブランドと言える。50ml 税別8500円
エクラ・ドゥ・アルページュ プールオム
ECLAT D’ ARPEGE Pour Homme
世界中の女性に支持を得た名作シリーズ「エクラ・ドゥ・アルページュ」のメンズフレグランス版。特徴的なジャスミン、ローズマリーの奥行きと、シダーやサンダルウッドといった官能的な香りを持つ。ランバンの名作であるこのシリーズを、女性用、男性用とパートナーで持つのも良いかもしれない。50ml 税別7800円