ビジネス

2019.04.01

データポイントが最大の武器に!「運送業のウーバー」への挑戦

Transfix共同創業者の二人。(左)ジョナサン・サラマ(右)ドリュー・マッケルロイ(photograph by Harry Fellow)

トラック輸送の仲介業務を覚えた少年時代。36歳になった彼はウーバーのトラック版とも言うべきサービスを立ち上げ、7000億ドル規模のトラック輸送市場に挑んでいる。

12歳のドリュー・マッケルロイ少年は、既にトラック輸送業界の中心にいた。彼の両親はニュージャージー州ミルタウンの空き部屋を使ってトラック輸送の仲介業務を運営し、トラックのオーナーと荷物発送元の会社との間を取り持っていた。ドリュー少年は、電話番をしながら両親の仕事を手伝った。

それから15年後、マッケルロイにひらめきが訪れた。「トラック仲介業者も、ウーバーやリフトと同じようなことをできないだろうか?」。ウーバーやリフト等の配車サービスは利用客とタクシーとをマッチングし、目的地までの最適なルートを探す。さらに独自のアルゴリズムにより需要と供給に基づく価格設定を行う。「“これだ!”と僕は思った。うちの業界ではまだ誰もやっていない」と彼は振り返る。

画期的なアイデアだった。トラック輸送業界は、7000億ドル(約76兆6800億円)の市場規模がある。米国内を走るトラック輸送代金の総額は年間5000億ドル(約54兆7700億円)を超える。マッケルロイのひらめきから4年後の2013年、彼はトランスフィックス(Transfix)を共同設立した。アルゴリズムとマシンラーニングを利用した貨物輸送のオンライン・マーケットプレイスで、荷主によりリーズナブルな価格を提示し、トラック輸送業者には最適なルートを提供する。タイミングもよかった。中年男性が大半を占めるトラック運転手たちは最近スマートフォンを持ちはじめ、積極的にトランスフィックスのアプリをインストールしている。

従来、貨物輸送の価格設定は複雑かつ不透明なものだったため、仲介業者が零細運送業者やトラックドライバーから利益を搾り取り、大きなマージンを得てきた。それに対してトランスフィックスの価格設定アルゴリズムは、人の介入による不確定要素を排除し、過去の輸送実績、荷役時間、天気予報を含む数千のデータポイントからの確かな情報に基づいて価格を算出している。また現在地、予め設定した選択肢、過去の運行パターンなどに基づき、どのドライバーが輸送に適しているかを予測する。

収益向上の目標もひと段落したマッケルロイは海外、そして少量輸送を次なるターゲットに据える。

◎ドリュー・マッケルロイ、ジョナサン・サラマ
ジョージタウン大学を卒業し家業を手伝っていたマッケルロイは、スタートアップの夢を叶えるために、50ページにわたるビジネスプランを抱えてサンフランシスコに出向いていた。そこで、共同創業者のサラマと出会う。

翻訳=荒川伸次

この記事は 「Forbes JAPAN プリンシプル・カンパニー」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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