多様性を維持し、最高のエンターテインメントを届ける
こうしたヒット作を生み出すためには、優秀なストーリーテラーを見つけ出してくることが必要になる。担当者たちは、どのようなポイントを軸に優秀なストーリーテラーであるかどうかの判断を下しているのか。
沖浦とベラの2人が共通して口にしたのは、「ストーリーに対する情熱、そしてこだわりが何よりも重要である」ということ。ネットフリックスではストーリーテラーたちがアイデアをピッチする機会があり、その内容をもとに作品化するストーリーを決めていくという。シンディがこんなエピソードを披露してくれた。
「今でもラファエル・ボブ=ワクスバーグが『ボージャック・ホースマン』のストーリーをピッチしてくれた日のことを覚えています。たしか1時間30分くらいで、とても長いピッチでしたが、明確なビジョンを持っていて情熱を持って我々に話をしてくれたのです。それを聞いて、このストーリーテラーをサポートしたいと思い、作品化することになりました」(シンディ)
スコットも「ネットフリックスは世界中に視聴者がいるからこそ、世界中からストリーテラーを見つけてくる必要がある。僕は『ROMA/ローマ』の監督を務めたアルフォンソ・キュアロンに続くクリエイターを見つけたいと思いますし、この仕事を通して世界中の人をワクワクさせることは、とてもエキサイティングなことだと思っています」と語った。
4月5日に公開予定のドキュメンタリー番組「OUR PLANET 私たちの地球」の画像が映し出されている、LAオフィスのエントランス
オリジナル映画、オリジナルシリーズ、オリジナルアニメ、そしてインタラクティブ作品。今年もさまざまな作品の公開を控えているネットフリックス。シンディは「インタラクティブシリーズにも投資を行い、さまざまなジャンルで試していきたい」と語り、セッションを締めくくった。
「私たちにとってコンテンツにおける多様性は重要なことです。ネットフリックスには世界190カ国、1億3900万人の有料メンバーがおり、彼らに最高のエンターテインメントを提供することが我々の使命です。今以上に世界中の素晴らしいストーリーを探し求め続ける必要がありますし、字幕や吹き替えなどの視聴体験も向上させる必要があるでしょう。まだまだ理想とする状態には到達できていないので、今後も改善を続けていきます」(シンディ)