そういうことで、アマゾンもこれまで基本的に無過失を主張して、この手の抗議には耳を貸さなかった。しかし、ますます同社の小売・流通業への影響が大きくなり、さらに、マーケットプレイスにはアマゾンの倉庫から出品しているものもあり、責任はより重いはずという見方が広まってきた。
昨年と一昨年、ダイムラー・ベンツが、ベンツの部品の偽物がマーケットプレイスで売られたことをもってアマゾンを訴えた。その請求原因(訴訟理由)には、「アマゾンが商標保護に十分な策をとるよう求めたことを拒否したから」(テクノロジーブログ:Engadget)とある。
ダイムラー・ベンツは、調査会社が3万2千件もの商標保護違反を指摘したにもかかわらず、アマゾンはそれに対して努力不足であり、また、アマゾンの倉庫からアマゾンによって出荷されていることは、通常の場所貸しとは違うとしている。
そこでアマゾンは、3月、「プロジェクトゼロ」なるものの立ち上げを発表、重い腰を上げた。これは、偽物があったらアマゾンが報告を受けて、同社がサイトから偽物を降ろすという従来の流れを変え、ブランド会社にアクセス権を与え、偽物を直接マーケットプレイスから降ろさせる機会を与えるというものだ。まずはブランド会社15社を実験に招き、その後拡大すると発表している。
13兆円を売るアマゾンの3分の1はマーケットプレイスによるものであり、この強みを生かすための画期的な技術だと、この新たな試みについてCNNは報じている。
しかし、一方で、ブランド会社がこの権利を濫用して競合他社を不当に排除するという懸念も生まれる(合法的な類似商品までニセモノとして排除してしまう)。これはアマゾンにとっても大きなリスクだ。ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、アマゾン側は、このプログラムを丁寧に監視して濫用を防ぐと言っているという。
連載 : ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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