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レベッカ・カンター

レベッカ・カンター(26)はハーバードを中退し、2015年に教育スタートアップImbellusを創業した。現在までに2300万ドル(約25億円)を調達している。2018年の米フォーブス誌30Under30に選出された女性起業家だ。

Imbellusのゴールは、マークシート方式のアメリカの大学入試標準テストを全く別のものに変えることだ。カンターが開発しているのは、コンピューターを用いたシナリオベースの双方型の試験システムで、問題解決、創造性、機知などの能力を評価することを重視している。あるシナリオでは、試験者は感染症を特定し、拡大を防ぐための解決方法が問われる。

現在のところ、Imbellusはマッキンゼーをはじめ、いくつかの大企業に採用候補者の評価・査定のテストを提供している。カンターの次のステップは、SAT(米国の大学入学時に考慮される標準テスト。Critical Reading、Writing、Mathの3教科各800点満点、合計2400点満点、Writingの小論文部分以外はマークシート方式。他に、SAT Subjest Testと呼ばれる英語、歴史・社会学、数学、自然科学、語学の5分野・20科目の科目別テストもある)に代わる製品を開発し、より専門性の高い試験にも適用していくことだ。


いつも「学校が嫌い」と言っている生徒でした。学ぶことは嫌いではありませんでしたが、学校は、学ぶ上で私の興味を奪い取っているように感じました。

そこで、根本的な問いかけをはじめました。アメリカにおけるK-12教育(日本における小学校から高校までの教育)の責任とは何か、なぜ大学への準備だけではなく、社会に入る準備としてもこんなにも機能していなのか。何年もリサーチを続けたところ、大学のカリキュラムが、もっと言えば大学の入学試験が高校のカリキュラムに大きな影響を与えていることを知りました。

いちかばちかの賭けのようなマークシート方式の標準テストは、不平等を加速させる要因となっています。裕福な学校が、貧しい学校よりもうまくできる仕組みになっています。本来、大学は平等や機会が与えられる、すべての人にとって目指すべき道しるべであるべきはずです。

K-16教育(大学教育まで含めたもの)をもう一度、アメリカを動かす原動力として誇らしい象徴にしたいのであれば、このたった一つの規則、標準テストに挑まなければなりません。多項目選択のマークシート方式を過去のものにして、実際に社会や人生で必要とされる、深い思考を評価するものにしなければなりません。

私たちのゴールは、SAT、ACT、APテストといったすべての大学入学のための標準テストを一変させることです。

ハーバード大学を中退したことは、私の人生にとって最もよい選択だったと思います。大学では、授業以外のことに夢中になりました。2年間在籍して、次のステップへ移行する、今やっている事業に集中する準備が整ったと思いました。多くのリサーチがそこから始まりました。

起業にとって、最も重要なことは「勇気」だと思います。短期的には嫌がられても、長期的には正しいことを進んでやりたいか?なぜあなたのスタートアップがこの世の中に存在するのか、なぜ今必要なのか、という基幹の命題に確信をもっているか?もしその問いに対する答えが十分に強くなければ、起こりうる障害に耐えられる芯がない、ということだと思います。

私にとって「成功」とは教育を変えることです。10年、15年後に──これは私が持っているタイムラインですが、私が成功しているとすれば、高校はもっと実際的な価値がある、生徒の興味に沿ったことを自由に教えることができていて、一人ひとりの幸せな人生に向けて第一歩を踏み出す場所になっていると思います。

翻訳・編集=岩坪文子

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