ビジネス

2019.03.30 12:00

ベンチャーマインドが根付く「未来の国」 ニュージーランドの可能性

ニュージーランドで起業10年目を迎えた、Lake Edge Nomad Ltd.代表・四角大輔氏。撮影:富松卓哉


SDGs(持続可能な開発目標)が世界共通のゴールとなった今、ニュージーランドの環境保全意識の高さにも注目すべきでしょう。
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この国には、美しい自然と資源の持続可能な管理を目的とした「資源管理法」という法律が存在し、全434条、A4用紙にして776ページにわたる“環境の憲法”とも言えるこの法律は、大地や空気、水から星空に至るまで厳格な利用ルールを定め、同国のサステナビリティに重要な役割を果たしています。

自然
少し足をのばすだけで、手付かずの自然がそこかしこに広がっている。撮影:富松卓哉

同国ジャシンダ・アーダーン首相は、2050年までの“CO2排出量ゼロ”を目指し、2035年までに国内の再生可能エネルギー比率100%の達成を宣言。これはかなり高いレベルの目標ですが、すでに国内比率80%を達成し、その実現は確実視されています。
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こうした確固たる自然との共生思想も、ニュージーランドの先進的ビジネスに影響を与えていると、四角氏は語ります。

「投資家・起業家ビザを推奨するニュージーランドは、世界各国からさまざまなジャンルの起業家と企業の参入を積極的に受け入れています。そんなビジネスにおける懐の広さは、確実に自然との共生思想がベースになっていると言えるでしょう。

自然が豊かな国は多くありますが、ニュージーランドの特徴は自然との距離が近いところ。日常的に自然と触れ合うことで、人間は環境に依存しないと生きられない事実を自覚できます。その結果、環境保護への“当事者意識”が芽生え、自然と共に生きるための努力が当たり前となり、持続可能なアイデアとアクションにつながっています」

1893年、ニュージーランドは世界に先駆けて女性参政権を認め、これまで3人の女性首相を輩出しています。最近では、3人目の女性首相で若干38歳のアーダーン女史が、国家元首として世界初の育児休暇を取ったことも話題になりました。

「男性主導の社会においては利益優先の競争型ビジネスが推進されがちですが、女性主導では、長期視野を持ったビジネス、地球環境やマイノリティに優しいソーシャルな政策が推進されるのが特徴です。世界で初めて手話を公用語としたり、LGBTの法的結婚もいち早く認めていました。最近では、サステナブルなビジネスモデルのスタートアップが多数登場しています。自然と共生することで培われた多様性を受け入れる寛容さと、地球人的な視点が、持続可能なビジネスの発展を後押ししているでしょう」(四角氏)

テクノロジーと自然の両立に見える未来の可能性

自然との共生に重きを置く一方、電子政府「D7」設立主要国として、デジタルイノベーションを推進する電子国家の顔も持つニュージーランド。各種行政サービスはすでに70%以上がデジタル化されており、近いうちに国民は総デジタルネイティブ化していくでしょう。

IT教育にも非常に熱心で、子どもたちは小学生の頃から、学校で配布されたタブレットを使い、自らの考えを積極的にプレゼンテーションするほど。これからのイノベーションに必要なテクノロジー×アイデアの基盤が培われています。
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文=佐藤祥子 取材協力=ニュージーランド大使館商務部 ニュージーランド大使館 エデュケーション・ニュージーランド Creative HQ

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