総合格闘技界のスタートアップ「ONEチャンピオンシップ」に出場する理由

格闘家 青木真也

格闘家 青木真也

プロの格闘家になって14年。

子どもの頃からずっと柔道をやってきて、大学在学中に格闘技に転向、それから今まであの手この手を探りながら、息の長い選手生活を送ってきました。

でも実は、「やりたくて続けてきた」のではなく、「やめられずに続けてしまった」といった方が正解でしょう。もちろん、否定的な意味ではありません。格闘技に没頭している時間は楽しいですし、技術にしても、興行の形にしても、進化のスピードが速いことが魅力なのです。格闘技のプレイヤーとしてそのスピードに追いつこうと思っているうちに、今に至ります。

3月31日には、総合格闘技イベント「ONEワンチャンピオンシップ」が日本で初めて開催され、私も出場します。総合格闘技といえば、日本でかつて一大ブームを巻き起こしたUWFやPRIDEなどを思い浮かべる人が多いと思いますが、似て非なる部分がかなり多いのです。

総合格闘技界の「スタートアップ」

「ONEワンチャンピオンシップ」は、シンガポールで生まれた格闘技団体で、現在は他の東南アジア地域や中国にも進出しており、アメリカのUFCにも引けを取らない規模に成長しています。

ONEは、格闘技界に出てきたスタートアップと言っていいでしょう。CEOのチャトリ・シットヨートンはハーバード大学院でMBAを取得し、IT系のスタートアップにも参画しているビジネスパーソンです。ベンチャーキャピタルのセコイアキャピタルや、シンガポールの投資ファンドなどからおよそ300億円の資金調達を受けています。

ONEは新しいことをどんどん試し、トライ&エラーのサイクルが速い。また、決裁もスピーディで、スタートアップの雰囲気を感じ取ることができます。

日本でこれまで行われてきた格闘技の興行は、テレビの放映権とのセットが主流でした。一方のONEはUFCと同じく、投資を募り、その資金をプールして興行を仕掛けるスタイルです。従来日本で行われている格闘技興行の考え方とは大きく違います。
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文=青木真也

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