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ディバキ・ラージ

2018年10月アメリカ南東部を襲った大型ハリケーン、マイケル。フロリダ州に壊滅的な被害をもたらした時、テレコム会社のワイド・オープン・ウエストはディバキ・ラージの元を訪れた。被害に遭った建物の地図を得るためだ。彼女の会社、CrowdAIのチームは、20分でそれを用意した。

CrowdAIは人工知能を使用して、衛星画像やドローンによる空撮写真、道路上の写真などあらゆる画像を分析して迅速かつ正確な地図を作製する。Yコンビネータなどから260万ドル(約2億8千万円)を資金調達し、これまでにカルフォルニア州の山火事被害や南部テキサス州でのハリケーン・ハーベイの被害の地図作成に利用されてきた。

ラージは研究者の家庭に育ち(父親と姉は遺伝学者)、オックスフォードで統計学の修士号を取得した後、アカデミアの世界を離れた。その後グーグルを経て、起業。2018年には米フォーブス誌30under30に選出された。以下、ラージ談。


学部を卒業してすぐに起業の道を選んだのではありません。コンサルティング会社で少しの間働き、オックスフォード大学の修士課程で統計学を研究し、機械学習についても多く学びました。その後グーグルに入り、3年半働きました。

Map、エネルギー、Xといった様々なチームで仕事をし、太陽発電にとって理想的なアフリカの地域を特定するために衛星写真を分析するプロジェクトにも携わりました。

グーグルを辞める時、両親からは「なぜそんな安定的な仕事を捨てるの?」と言われました。でも私は小さい頃から「何か新しいことをしてみたい」と思う子どもでした。上手くいかなかったら、また戻ってこればいい。境界に挑戦してみよう、そこで何が可能か見てみよう、と思いました。

CrawdAIは人工知能を使った、地理空間を画像によって分析するシステムです。衛星画像、ドローンによる空撮画像、道路上で撮影された画像など、あらゆる画像が含まれます。

世界には、地図化されていない地域や道路が多くあります。例えば顧客のひとつはライドシェア企業ですが、彼らは現在建設中の道路についての情報を持っていません。私たちの会社に来て、「この地域の衛星写真が欲しい、そして建設中の新しい道路についてもすべて教えて欲しい」と依頼します。我々がそれを提供することで、彼らは自社の地図情報を更新することができます。

Google Mapは、世界のあらゆる地域の地図を常に更新できるわけではありません。そこが私たちの入り込むところです。

父も姉も研究職です。でも、私は世界がもっと早く動くのを見たかった。だから違う道を選びました。私たちの事業に参加してくれるメンバーの多くもアカデミックのバックグランドを持っています。

しかし彼らも「学校で学んだことは、形のある確かな仕事に変えられるはずだ」と考え、研究職に留まるのではなく今あるチャンスに挑んでいます。

私にとって「会社を作る」とはどういうことか。いくつかの視点で考えています。まずは、「人々に本当に価値のある、意義のある仕事をしているか、単にお金を儲けることを超える価値がそこにあるか」ということ。また、「私を信頼してくれる人のことを大事にしているか」ということも私にとっては重要です。

私の会社に関わるすべての人に毎日、「私にとって意味のある仕事をしている。興味深い問題に挑んでいる」と思ってほしい。10人、100人、将来的には1000人の人たちが私の元を訪れ、ビジョンを共に創り上げる。それが私にとっての「成功」の定義です。

翻訳・編集=岩坪文子

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