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欧州の銀行家やファンドマネジャーのうち、給料が最も高額なのは英国で働く人たちだ。年収が100万ユーロ(約1億2400万円)を超える人の数は、ドイツで勤務する同業者のほぼ10倍に上る。

金融業界で働く年収100万ユーロ以上の人について調査している欧州銀行監督局(EBA)が先ごろ発表した報告書によれば、これらのうち3567人が英国で勤務しており、その大半がロンドンを拠点としている。中には年収が1780万ユーロ以上の人も1人いた。

さらに、彼らの給料は前年から増加している。英政府のデータによると、年収100万ポンド(1億4300万円)を超える人の年収は、前年比で平均6%増加していた。

高額の給料は、ロンドンでの勤務を希望する外国人を増やすことにつながっている。同国の不動産コンサルタント会社ナイトフランクの報告書によれば、ロンドンは世界でも有数の「富裕層が集まる都市」だ。

報酬格差は受け入れられるか?

年収が100万ポンドを超える人は、英国には約3万1000人いる。英予算責任局(OBR)によると、昨年のこの人たちの収入が前年比で6%増えた一方で、同国の納税者の99.9%は、前年比3.7%の増加となっている。

これは、企業経営者の収入に対する反発を強めることにつながっている。投資家らは、英銀HSBCの役員報酬の引き下げや同ロイズのトップに支払われる年金の減額を要求している。

スタンダードチャータードもまた、同様の圧力にさらされている。同銀のビル・ウィンターズ最高経営責任者(CEO)は50万ポンド近い年金を受け取ることになっているが、株主らはこれがあまりに高額だとみており、英財務報告評議会が企業統治に関して定めたガイドラインに違反すると非難している。

英国では今年1月から、企業トップの報酬に関する透明性をより向上させるための新たな規制が導入された。ビジネス・エネルギー・産業戦略省は「新規制により、英国内に従業員250人以上を擁する上場企業には毎年、全従業員の給与の中央値、25パーセンタイル、75パーセンタイルとCEOの給与の比率を公開することを義務付けている」。

つまり、英国の大手企業は自社のトップが平均的な従業員と比べ、どれだけ多く稼いでいるか明らかにする必要があるということだ。各社の取締役会は、労働組合や株主などからの批判にさらされることになる可能性がある。

高額報酬に対する国民の圧力が高まる中、より多くの企業は批判を受け入れ、幹部の報酬を引き下げることにするかもしれない。英国の野党労働党は、そうなれば従業員や消費者が、企業トップがどれだけの報酬を受け取るべきかについて票を投じるのと同じようなものになると指摘している。

「金融機関で働く人に最高額の給料を支払う都市」の地位をロンドンが失えば、それに代わる都市となるのはどこだろうか?

可能性が高いのは、明らかにスイスだ。クレディ・スイスが3月22日に公表した年次報酬報告書によると、ティージャン・ティアムCEOは昨年、前年より30%多い1280万ドルを受け取った。2014年以来、業績が初めて黒字になったことが理由だ。ティアムの年収はわずかながら、同国の銀行UBSグループのCEO、セルジオ・エルモッティの報酬1190万ドルを上回った。

編集=木内涼子

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