ディズニー・シアトリカル社長で、アニメ『ライオンキング』の生みの親でもあるトム・シューマッカー氏は、「ディズニーの舞台のグローバル化は、作品が既に世界で認知されていることがベースになっています」と言う。実際、『ライオンキング』『美女と野獣』『リトルマーメイド』『アラジン』は、劇団四季と日本公演を作る前から知られている作品だった。
では、ディズニーのように、現地のパートナーと組み、グローバルな認知度と普遍性のあるストーリーの作品を発信していくことで、日本発の演劇、さらにはエンタメのグローバル化への道は開けるのだろうか。
「スタジオジブリや宮崎駿さんの映画は世界中で知られていますし、黒澤明さんをはじめとする日本の素晴らしい監督の映画も有名です。ディズニーのモデルが当てはまるのではないか」と、シューマッカー氏はその可能性を示唆する。
同氏は、1998年に初めて日本を訪れてから、日本の文化やアートを尊敬し、数々の古典芸能やコンテンポラリー作品に触れてきた。蜷川幸雄氏による『マクベス』や『メディア』も観劇しており、「彼の西洋演劇の解釈は、私たちがグローバルに共通する点が多くあることを思い出させてくれます」と、国や文化を超えた作品の展開について思いを語る。
昨今のアメリカでは、映画でも演劇でも、韓国や中国の介入が垣間見えてきている。日本の魅力的なストーリーがどのようにして世界に届けられるか、今後が楽しみだ。