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2019.03.28 08:00

「多様性」こそが次なる成功の秘訣──ネットフリックスが描くエンタメの未来


有名な例は、スペイン発のドラマ『ペーパー・ハウス』や韓国発のドラマ「キングダム」、そしてイギリス発のドラマ『セックス・エデュケーション』などが挙げられるだろう。ネットフリックスが国やジャンルを問わず、バラエティ豊かなコンテンツを提供する狙いは、「多様性を追求していくことがサービスの成長につながる」と考えているからだ。

「現在、ネットフリックスに契約している1億3900万人の有料メンバーの大多数は米国以外の人たちで、今後、その比率はますます上がっていくでしょう。現在、英語を母国語とする人たちの割合は全世界でわずか5%であるにもかかわらず、コンテンツの多くはハリウッドで制作されています。でも素晴らしいストーリーはハリウッドだけでなく、世界のあらゆる場所に眠っているはずです。そのストーリーを作品にし、世界中で配信することがメンバーの満足度向上にもつながりますし、我々の成長にも寄与すると思ったんです」(グレッグ)

グレッグによれば、2016年にブラジル発の作品『3%』を公開したとき、ブラジル国内はもちろんのこと、それ以外の国でもヒットしたことが成功体験として残っており、アメリカ以外のコンテンツ投資を増やす大きな要因のひとつとなった。

「今年の1月に配信を開始した『セックス・エデュケーション』はイギリスもそうですが、フランスやポルトガル、インドやタイなどのアジア圏で人気を得ています。そのほか、『キングダム』はインドをはじめとするアジア圏以外にも、ロシア、アメリカでも人気です。なぜ、現地以外の国でコンテンツが受け入れられるのか。それはインターネットによって、いつ、どんな場所にいても世界中のコンテンツが見れるようになったからです。ほとんどのメンバーはコンテンツがどこの国のものか気にすることなく、視聴しています」(グレッグ)



世界各国の優れたストーリーを発掘する一方、ネットフリックスはプラットフォーマーとして技術的な努力も欠かさない。各地域での配信に対応するため、吹き替えの多言語化に力を入れている。

2012年に公開された初のオリジナル作品「リリハマー」は7言語の吹き替え対応のみだったが、6年後の2018年に公開されたオリジナル映画「クリスマス・クロニクル」は24言語で吹き替えに対応した。こうした点が「ネットフリックスがテクノロジー企業」として力を発揮できる部分でもある。

「ネットフリックスを楽しんでいるという体験を自然なものにするためには、より多くの言語の字幕に対応したり、翻訳の品質を改善したりしていかなければなりません。これは我々にとって重要なことであり、今後もフォーカスすべき分野です。

よくこんな質問をされます。ネットフリックスはコンテンツの会社か、テクノロジーの会社か、と。“どちらか”ではなく“どちらも”です。テクノロジーがルーツにあることは誇りに思いますし、我々のビジネスにおいて非常に重要な側面である続けることは間違いありません。我々は優れたコンテンツをテクノロジーを活用して、世界中どこにいても視聴できるようにしています。コンテンツとテクノロジー、両方の側面を持った会社がネットフリックスなのです」(グレッグ)

キーワードは「多様性」。万人にウケる必要はない

続けて、ネットフリックスのレコメンデーション技術やユーザーエクスペリエンス(UX)などの開発を統括する、プロダクト・イノベーション担当ヴァイス・プレジデント(以下、VP)のトッド・イェリンがステージに立った。

彼は自身の仕事について「デザインの観点から適切なコンテンツを適切なメンバーの前に届けること、そしてすべてのデバイスで優れた経験を提供すること」と語った上で、グレッグと同様に「各メンバーに優れた体験を提供するためには多様性を保つことが重要」と説く。

「20年間、一緒に暮らしている妻とでさえ視聴するコンテンツは異なる。全く別の趣味を持っているわけです。メンバーの中にはドキュメンタリーが好きな人もいれば、フィクションが好きな人もいる。時には日本人から収納の仕方について学びたい人もいるでしょう!多様でクオリティの高いコンテンツを我々が豊富に保有し、それらをパーソナライズの技術を活用して適切な人に届ける。これこそが一般的なテレビ放送にはない“ネットフリックス独自の強み”ですし、メンバーとより良い関係構築のために極めて重要なことなんです」(トッド)


プロダクト・イノベーション担当 VPのトッド・イェリン
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写真=ネットフリックス提供

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