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2019.03.28 08:00

「多様性」こそが次なる成功の秘訣──ネットフリックスが描くエンタメの未来

ネットフリックスLAオフィス「ICON」のエントランス

ネットフリックスLAオフィス「ICON」のエントランス

「得意なことにフォーカスし続ける」──これはネットフリックスCEOのリード・ヘイスティングスが事あるごとに口にする言葉だ。

この言葉通り、同社は2007年にオンラインストリーミングサービス事業を始めてから、徹底して最高のエンターテインメントを提供することにフォーカスし続けてきた。

とりわけ注力してきたのが、オリジナルコンテンツの制作・配信だ。この13年間、多額の投資を行い、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』や『ザ・クラウン』、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』といったオリジナルシリーズをこれまでに生み出してきた。

そして昨年公開した、オリジナル映画「ROMA/ローマ」が作品賞にノミネートされた他、主要3部門を受賞。今やネットフリックスがハリウッド業界も無視できないほどの存在になっていることは紛れもない事実だろう。

そんな同社が描く、エンターテインメント業界の未来とはどういったものか? 2019年3月18日、19日の2日間にわたってロサンゼルスオフィスで開催されたネットフリックスのプレスツアー「Netflix Labs Day 2019」で開催された“Future of Entertainment”と題したセッションの内容をお届けする。

95%に目を向けた、ネットフリックスのコンテンツ戦略
 

ネットフリックスCPOのグレッグ・ピーターズ

「私がネットフリックスに入社したとき、オンラインストリーミングサービス事業にはまだ8人ほどのメンバーしか関わっていませんでしたが、全員が事業のアイデアに大きな可能性を感じ、そして夢を持っていました」

セッションの開始とともにステージの上で、こう語り始めたのはネットフリックスでCPO(プロダクト最高責任者)を務めるグレッグ・ピーターズだ。

彼はオンラインストリーミングサービス事業が始まったばかりの2008年にネットフリックスに入社。インターネットサービスプロバイダ、ケーブル会社やあらゆる動画配信事業社などと提携関係を構築し、ネットフリックスで映画やドラマを視聴できるデバイスやプラットフォームの拡大に取り組んだ人物。過去には日本法人の代表を務めた経験を持つ。

ネットフリックスの歩みを振り返ると、改めて急激なスピードで成長してきたことがわかる。2007年のリリース時、サービスに対応していた端末はパソコンのみ。それもアメリカ国内のみの使用に限られていたが、翌年以降、さまざまなデバイスによる視聴に対応。3年後にはカナダでサービスを開始し、グローバル展開を推し進めていった。

そして現在、ネットフリックスは190カ国以上でサービスを展開。1億3900万人の有料メンバーが利用するほどの規模に至っている。なぜ、これほどのスピードで成長できたのか。前述したヒットシリーズを輩出してきたことも要因のひとつだが、成長を語る上で欠かせないのが世界各国から優秀なストーリーテラーを見つけ、彼らとともに各地域に根ざしたコンテンツを生み出してきたことだ。


ネットフリックスLAオフィス「CUE」の屋上にて。テラスからは、うっすらと「HOLLYWOOD」の文字が見える。
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写真=ネットフリックス提供

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