その最も明らかな例は賃金の性差で、2017年には20%の開きがあった。米非営利団体(NPO)の女性政策研究所(IWPR)の調べによると、米国で賃金の性差がなくなるまでには現在のペースで40年かかる見通しだ。
それが縮まるまでの間、女性は自分たちが直接コントロールできる分野で性差をなくすことに取り組むべきかもしれない。それは投資の分野だ。男性と比べて女性は貯蓄を投資しない傾向にあり、その結果大きな損をしている。米大手資産運用会社フィデリティ・インベストメンツが先ごろ発表した調査によると、自分を投資家だと考えている女性はわずか29%だった。
投資をしないことで、女性の不利な立場がさらに悪化している。複数の調査から、女性は男性に比べ収入の多くを貯蓄することが何度も示されているが、賃金差が存在するせいでたまる額は少ない。また女性は、育児や家族の介護などで仕事から離れていることも多い。
非営利団体の米国老後保障機関(NIRS)の調査からは、女性の方が男性よりも退職後の生活に困窮する可能性が80%高いことが示されている。
貯蓄額を増やすべきというアドバイスには意味がない。多くの女性は間違いなく、できる限り貯蓄しようと努力しているからだ。しかしその貯蓄を株式市場に投資していなければ、資産の差は開くばかりだ。
女性には投資家としての才能がもともと備わっている。多くの人はそれに気づいていないだけだ。
女性は投資において、自信に欠ける傾向にある。ジョージ・ワシントン大学経営大学院の経済学者で金融リテラシー専門家、アンナマリア・ルサルディは「経済に関する知識を1から7の間で自己評価させた場合、女性は男性に比べて高い評価を出しにくい。最高評価になるとなおさらだ」と述べた。
ルサルディの調査では、女性は金融リテラシーに関する質問に間違った解答をするだけでなく、「分からない」と解答することが非常に多いことが示された。
しかし、自分の分からないことを理解していることがメリットになるのではないだろうか? 女性は実際投資に向いていて、男性より投資が得意な可能性もある。フィデリティ・インベストメンツが顧客口座を対象として実施した2017年の調査では、投資成績において女性が男性を平均0.4%上回っていた。
調査からは、男性の投資成績が女性よりも低い理由の一つが自信過剰なことにあると示されている。男性はより頻繁に売買を行いリスクの高い決断を下すが、女性は金融面でアドバイスを求めるとともに長期的な投資を行う傾向にあり、結果として売買の頻度が少ない。