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アップルCEO ティム・クック(Photo by Michael Short/Getty Images)

米アップルがゴールドマン・サックスと提携し、消費者クレジット市場に進出することは、昨年すでに発表されていた。

今夏から発行されることが明らかになった「Apple Card(アップルカード)」には、iPhoneの販売と証券業務というそれぞれの主力事業の売り上げが伸び悩む両社にとって、その底上げを図る狙いがある。製品の発売・販売に関する両社の力からみても、提携は今後、消費者クレジット市場に大きな影響を及ぼすものとなるだろう。

アップルはこれまでにも、英バークレイズとの提携によりクレジットカードを発行していた。それにとって代わるゴールドマンとのパートナーシップは、幾つかの点で従来とは異なるサービスを提供するものとなる。

まず、ゴールドマンは、発行した全てのクレジットカードについて、アップルに手数料を支払う。これは業界では一般的な取り決めだが、バークレイズはアップルの顧客に無利子のローンを提供する代わりとして、手数料を払わない契約を結んでいた。ゴールドマンから得る手数料は、アップルの新たな収入源となる。

また、新しいクレジットカードは、iPhoneと連携させたものになる。多数の企業が非接触決済サービスを提供する中、両社はApple Payのさらなる利用拡大を期待している。Apple Payが利用できない小売店向けに、実物のカードも発行する。

ゴールドマンは2016年、一般消費者向けにオンライン融資・貯蓄サービスを行う「Marcus(マーカス)」を立ち上げている。アップルとの提携は、ゴールドマンの消費者金融事業の強化にもつながるだろう。ゴールドマンは同事業で大手JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなどに後れを取っており、それを挽回したい考えだ。

セキュリティを向上

非接触決済のみに頼ることについては、疑問を持つ消費者もいるだろう。大半のものがそうであるのと同様に、このテクノロジーにも長所と短所がある。

非接触決済の技術を支持する人たちは、Apple Payはより安全だと主張する。アップルが利用者のクレジットカードの番号の一部しか保存しないためだ。

アップルはカードに関するデータの一部を保存し、それを利用者が持つデバイスの番号の一部と照会。決済ごとに、暗号化したキーでトランザクションを処理する。クレジットカード詐欺や個人情報の盗難が減少する気配を見せない中で、Apple Payの魅力は今後、さらに高まることになると予想される。

一方、このカードの欠点は、利用に関する手間が減ることから、より買い物がしやすくなり、私たちにとって極めて重要な貯蓄率の低下につながる可能性があるということだ。私たちがシームレスにお金を使うことをこれまで以上に簡単にしたのは、結局のところ、アップルが全ての決済から手数料の一部を受け取るからだ。

クレジットカードの債務残高は、高額に膨れ上がっている。クレジットカードによる借金を増やすことは、私たちにとって何より必要のないことだ。これは、予算の立て方について学ぶことの重要さを改めて考えさせることでもある。

編集 = 木内涼子

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