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リヴィアン 創業者兼CEO R.J.スカリンジ

18年11月に開催されたロサンゼルス・オートショーの話題をさらったのは、ポルシェでなければBMWでもなく、その他の一般的な高級車でもない。注目を集めたのは、ミシガン州プリマスに本社を置くほとんど無名の電気自動車(EV)メーカー、リヴィアン・オートモーティブだった。

EVテクノロジーの開発に約10年の経験を積んだ同社が初めて、7人乗りのSUV「R1S」とピックアップトラック「R1T」のEV2車種を発表した。

アウトドア志向のアクティブなライフスタイル層をターゲットとした初のEV車両は、多くの自動事故防止機能やインターネット接続などの最新ハイテク技術が詰まっている。

「冒険は重要だ。夢中になれるのはフィッシングかもしれないし、ゴルフかもしれない。あるいは家族とランチに出かけることかもしれない」と、リヴィアンの創業者でCEOのR.J.スカリンジ(36)は語る。

09年に創業し緩やかに進み始めたスタートアップのリヴィアンは、スカリンジ自身も認めるように、当初はテスラのロードスターに似た電動式スポーツクーペの開発を始めた。しかしそれから数年のうちに、計画は棚上げされた。「我々が造っていたのは、既存のマーケットになく世界に必要とされるものとはいえなかった」。

しかし、スカリンジはくじけることなく、方針転換した。モビリティの将来を見据えて同社のミッションを見直し、「ラグジュアリー体験を提供する多目的車」へと舵を切ったのだ。20年にイリノイ州ノーマルの工場(17年に三菱自動車が売却)で製造をスタートさせた後、同社はテスラのように、消費者へ直接販売する予定だ。

「部外者には現在進行中の案件を漏らさないように気を付けている。結果が全てだ」とスカリンジは、大風呂敷を広げないよう慎重に語る。リヴィアンの持つテクノロジーを、他の自動車メーカーやテック企業へ有償提供することで、より収益性の高い収入源が生まれる可能性もある。

「我々のテクノロジーをそっくりそのまま、あるいはバッテリーパックのみなど部分的に販売することができる」とスカリンジは言う。

リヴィアンには米国住友商事も17年に出資を行っており、2月にはアマゾンを筆頭に7億ドル(約782億円)の出資を受けると発表した。


R.J.スカリンジ◎工具を扱える年齢になるとすぐに、近所のガレージでポルシェ356シリーズの改造を手伝い始めた。マサチューセッツ工科大学のスローン・オートモーティブ・ラボで機械工学の博士号を取得。

文=チャック・タンナート 写真=イーサン・パインズ 翻訳=荒川伸次

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