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テリーザ・メイ首相(Photo by Dursun Aydemir/Anadolu Agency/Getty Images)

英議会のウェブサイトには、政府に欧州連合(EU)からの離脱の撤回を求める請願書に署名ができる専用のページがある。同国に居住していない外国人でも、誰でも署名することができる。

筆者は米国の東海岸に住む英国人ではない2人から、実際に署名をしたと聞いている。3月21日の時点で100万を超える署名が集まっていたこの請願書の問題点は、署名する人に「市民」であるかを確認するボックスをクリックすることしか求めていないということだ。

フォームのその他の部分で尋ねられているのは、氏名とメールアドレス、郵便番号だ。郵便番号は、インターネットを使って簡単に見つけることができる。記入を済ませると返信のメールが届き、そこに記載されたリンクを開けば、「請願書に署名」したことになる。

パスポート番号など、英国民に割り振られたID番号を求めるその他の項目が加えられない限り、「リンクをクリック」するだけで、あなたの名前は「残留派」のリストに加えられることになるようだ。画面には「(EU基本条約)第50条の発動撤回とEU残留を求める請願書:あなたの署名を加えました」とのメッセージが現れる。

実際には、英国内の残留派と離脱派はほぼ半数ずつだとみられている。調査によって、離脱派がわずか4~8ポイント上回る程度の違いがあるにすぎない。21日の午後には、請願書のページは何度もダウンする状態になっていたが、これはブレグジットを巡る混乱が感情的になっていることを示している。

2016年に行われたEU離脱の是非を問う国民投票では、離脱することになった場合、英政府は2年後までに新たな関税措置についてEUと合意することとされた。だが、離脱が決まり、EUとの合意の期限が間近に迫っても、テリーザ・メイ首相は自身とEUが取りまとめた「離婚協議書」について、与党保守党からも野党からも、十分な支持を得ることができずにいる。

議会はこの離脱協定案を繰り返し否決。ジョン・バーコウ下院議長は、新たな内容が加えられない限り、再び採決を行うことは認めないとの方針を示した。

「ハードブレグジット(合意なき離脱)」となれば、英国は世界貿易機関(WTO)の協定に従った税率を適用することになる。これは最も簡単な話だ。一方で最も難しいのは、EUと英国の間の自由な人の移動や、英国内に居住・就労する外国人のへビザの発給だ。さらに扱いが難しい北アイルランドの問題もある。

英国では同日、「請願書」は一日中、ツイッターのトレンドに入っていた。このことは、ブレグジットに関する英国民の考えを適正に表しているように思えるかもしれない。だが、よく考えてみれば、これは残留派が離脱派を疲れ果てさせるための最後の抵抗なのかもしれない。

著名な活動家を含む残留派はこの週末、ロンドンで抗議デモ行う予定だ。

編集 = 木内涼子

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