ビジネス

2019.03.25

ネットフリックスCEO、「素晴らしい競合がいることは、良い刺激になる」

ネットフリックス リード・ヘイスティングスCEO


まだスクリーンタイムの10%しか獲得できていない

──5G(第5世代移動通信システム)やVR(仮想現実)はコンテンツの制作方法、メンバーの視聴体験をどのように変えていくと考えていますか?

オンラインストリーミングサービスを開始して13年、我々を取り巻く環境は大きく変わりました。テレビの画質がよくなりましたし、モバイルの画質も良くなりました。そしてネットワーク環境も良くなっています。

例えば私たちは手のひらサイズのテレビを手にしていますし、4Kやドルビービジョンはストリーミング視聴に対応しています。こうしたテクノロジーが巻き起こす変化は今後も続いていくでしょう。テクノロジーは物事をより速く、より良く、そしてより素晴らしいものにするために存在している、と私は思っています。

──インタラクティブコンテンツについて、どのような考えを持っていますか? また『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』の視聴したメンバーから得られるデータとして最も興味深いものは何ですか?

どちらのシリアルを朝食に食べるか、視聴者が考えて、選択する。インタラクティブコンテンツは新たな視聴体験として、とてもエキサイティングだと思います。得られるデータとして興味深いのは、人によって視聴時間が異なることです。30分しか費やさない人もいれば、2時間費やす人もいる。

我々のビジネスは広告収益を基盤としないため、こうしたデータを外部に提供することは一切ありません。完全に隔離した環境で、安全に管理しています。こうしたデータはメンバーに対してより良いサービスを提供するためのヒントを与えるもののみとして、活用しています。


2018年12月28日に公開され、話題を集めたネットフリックス初のインタラクティブ実写作品『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』

──現時点のオンラインストリーミングサービスにおける問題のひとつは「スクリーンタイム」にあると考えています。ストリーミング利用者が十分な休息を取りながらエンターテインメントを楽しめるよう、ネットフリックスはどんな取り組みを行っていますか?

素晴らしいコンテンツを提供することで、広告付きのリニア型テレビ放映やビデオゲーム に時間を費やすのではなく、ネットフリックスに時間を費やしてほしいと思っています。

いま、他の国と比べてメンバー比率が高いアメリカにおいても、私たちはスクリーンタイムの10%しか獲得できていない。そしてモバイルの視聴時間はもっと短いです。したがって、我々が全体のスクリーンタイムに占める時間はまだまだ限定的だと考えます。

──人々の時間は限られています。現在、ネットフリックスはコンテンツ制作に多額の投資を行い、絶え間なく新しいコンテンツを新たに配信しています。コンテンツの数が多すぎると考えたことはありますか?

全くそうは思いません。コンテンツの数は音楽業界と比較してみると、彼らは年間に100万曲以上の曲を配信していますが、動画コンテンツはまだわずかです。

我々がやりたいことは、幅広いジャンルの物語を世に送り出し、それをメンバーに伝えることです。『Bird Box(バードボックス)』のような素晴らしいストーリーを制作するために、今後も投資を続けていきたいと思います。

写真=ネットフリックス提供

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