消費者は、かつてないほど食品に健康効果を求めている。おりしも菓子業界は、広範な加工食品業界内において明るい兆しを見せている数少ない分野のひとつで、成長中でもある。モンデリーズのコファーによれば、アメリカにおけるミレニアル世代の間食回数は1日平均4回であり、大きな可能性が秘められているという。
それよりさらに期待できるのが海外市場だ。モンデリーズは、売上のおよそ75%をアメリカ国外から得ており、成長著しいインドやベトナムを含む世界150カ国以上で製品を販売している。同社推定によると、世界の菓子市場の総合的な規模は1兆2000億ドル(約133兆円)だ。
アップリフト・フードの株式を取得したのは、モンデリーズの新ベンチャー投資部門で、独立したイノベーションハブである「スナック・フューチャーズ(SnackFutures) 」にとって初めての投資だ。スナック・フューチャーズが設立されたのは2018年11月。しかし、ライバル各社の多くはもう何年も前から、成長促進の手段としてスタートアップへの投資を始めている。
たとえば、食品大手ゼネラル・ミルズ(General Mills)は2015年、スタートアップ支援を目的としたインキュベーター「301 INC」を社内に設置し 、プロバイオティクス飲料ブランド「グッドベリー(GoodBelly)」や、オーガニックのカッテージチーズ製造会社「グッド・カルチャー(Good Culture)」など10のスタートアップにすでに投資している。話題を集めている植物由来バーガーのメーカーで、まもなく株式を公開する予定の「ビヨンド・ミート(Beyond Meat)」の株も、早い段階で取得済みだ 。
スナック・フューチャーズを率いるコファーは 、モンデリーズは他社よりスタートが遅かったことで、うまくいっていないものが何かを学ぶことができたと話す。だからこそスナック・フューチャーズは、他ファンドと異なる形で正式に設立されたのだ。同社は、ベンチャー投資を主に行うと同時に、社内起業も支援する。独立組織として起業家のスタートアップを支援するほか、モンデリーズ既存ブランド内での新ブランド立ち上げや、不調ブランドの改革も行う。2022年までに、売上1億ドル増(約110億円)を目指している。
コファーは、「どうすれば、より機敏に新しいリスクを負うことができるだろうか」と述べる。「投資先として私たちが最も関心を寄せているのは、ウェルビーイング、プレミアム、デジタルの3分野だ。菓子業界の範疇に含まれる必要がある。今後も投資を行なっていく予定だ」