地方からの人材流出、遠隔勤務が解決策に?

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米国では、地方からの優秀な人材流出が長年にわたり問題となっている。小さな町で育った子どもたちの中には、大学に進学する人も、しない人もいる。だがこうした若者たちは、大都市の華やかさにひきつけられ、より給料が高い仕事などを求めて都市部に移住する。そして、若者が生まれ育った田舎町は衰退する。

私たちは今、新しい職場環境に直面している。その主な理由は、ミレニアル世代とジェネレーションZ世代の若者たちの仕事や生活環境へのニーズが、前の世代と大きく異なることにある。この新たな働き方に貢献しているのは、若者世代にとって重要な次の4つの価値観だ。

1. 誠実で環境に優しいライフスタイル
2. モノではなく体験に基づいた生活の質
3. 「自給自足」の追求に価値を見出す人が多い
4. 健全なワークライフバランスの維持と、柔軟性のある勤務時間を望む人が多い

こうした欲求はどれも、大都市では完全に満たされない。

仕事環境トレンドの変化への企業と技術の反応

テクノロジーにより、今や人々は場所をほぼ選ばずに働けるようになった。チームメンバーの勤務場所がばらばらだったとしても、プロジェクト管理ソフトウエアやクラウドコンピューティング、ユニファイドコミュニケーション、ビデオ会議などにより、協力して仕事を完了させることができる。

企業は、施設関連コストの大幅削減などにつながる遠隔勤務に価値を見出している。チームが協働して生産性を維持し、業務やプロジェクトを期限内に完了できる限り、遠隔勤務のデメリットは存在しないのではなかろうか? 面と向かっての会議が時折必要になったとしても、そうした場を設定することは可能だ。

地方からの人材流出への影響

これは理想的な状況にも思える。若者世代はもはや、大都市の企業で働く従来型ライフスタイルに魅力を感じていない。一方の企業側は、遠隔勤務に価値を見出している。また、衰退していく地方の街は、地元経済復興の方法を探している。
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編集=遠藤宗生

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