地方からの人材流出、遠隔勤務が解決策に?

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米国では現在、全国規模の実験が進んでいる。地方イノベーションセンター(CORI)が進める「The Rural Innovation Initiative(地方イノベーションイニシアチブ)」だ。このプロジェクトのコンセプトはシンプルで、米商務省経済開発局(EDA)を含む官民パートナーシップから資金を調達し、遠隔勤務者のための地方技術ハブを発展させるべくシード投資資金を提供するというものだ。

プロジェクトの目標は、人材流出に苦しんできた地方を活性化させ、若い世代や遠隔勤務を採用する先進的な企業にアピールし、21世紀のビジネスニーズを満たせる技術者やイノベーターが集まる中心地を構築することだ。

初期段階では、ミズーリ、アイオワ、ミシガン、オレゴン、ノースカロライナ、ミネソタ、カンザス、アーカンソーの8州にある9地方都市がハブ開発の対象として選ばれた。選ばれた街は全て、次の基本要件を満たしている。

・高速ブロードバンド通信網がある
・「オポチュニティーゾーン」(政府が定めた長期投資推進地域)などの資格を得た不動産がある
・4年制大学とのパートナーシップを確立できる
・イニシアチブに率先して取り組む意思と備えがある非営利団体(NPO)が存在する

多くの人が同プロジェクトの成功度を注視するだろう。成功すればもちろん、こうした都市がモデルとなり、他の地方都市もイニシアチブに参加するようになるはずだ。CORIはこのプロジェクトに期待を寄せており、経済の再活性化を目指している地方都市に既にリソースやアドバイスを提供している。

職場環境の未来

職場環境はこれからも進化し、変化を続けるだろう。企業で働く人やチームは既に世界中に広がっており、チームや労働者が国内にいることは取るに足らない問題となった。技術により協働やチームワークが改善を続けるにつれ、こうした働き方が問題でなくなることは誰の目にも明らかだ。

地方からの人材流出を逆行させる取り組みは、現実となりつつある。若い労働者層の価値観やニーズに対し地方部は素晴らしい環境を提供しているし、企業側では職場の概念が進化し、地方都市は経済復興を目指している。将来、こうした複数のニーズが統合されることはほぼ確実だろう。

編集=遠藤宗生

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