自動運転で急浮上のロシア企業、Yandexが韓国ヒュンダイと提携

ヤンデックス(fifg / Shutterstock.com)

ロシアの「ヤンデックス(Yandex)」が韓国の現代グループ傘下の自動車部品メーカー「現代モービス(Hyundai Mobis)」に、自動運転ソリューションの提供を行うことが3月19日、明らかになった。

ヤンデックスの広報担当者は、年内に韓国の現代もしくは起亜製の車両をベースとした、自動運転のプロトタイプ車両に、同社のテクノロジーが搭載されると述べた。

「ロシアのグーグル」とも呼ばれるテック大手のヤンデックスは、以前から自動運転技術の開発を進めてきたが、現代グループと提携を結べたことは大きな前進だ。

筆者個人は以前からヤンデックスが、自動運転分野におけるダークホース的存在であると考えてきた。同社の存在はこれまであまり目立たないものだったが、今年のCESのデモでは最も優れた結果を残した。

2019年のCESでは、イギリスのAptivの自動運転技術を用いたリフトの車両がデモ運行されたが、搭乗者の証言によると、人間のセーフティドライバーが運転を手伝う場面が複数回あったという。

一方で、ヤンデックスの自動運転車は人間のセーフティドライバーを乗せずに走行し、限定的な区間ではあるが、一般車両に混じって完璧な自動運転を行ったという。同社は今回の走行データを開示していないため、その安全性がどれほど確かなものであるかは未知数だ。

しかし、現代モービスがヤンデックスと提携を結んだことは、ヤンデックスの技術が一定レベルに達していることを示している。

自動運転の実用化に向けての大きな課題の一つが、ディープラーニングの学習のみに頼ることの問題性だ。実際の道路ではテスト環境では想定できない様々な困難が、自動運転車両を待ち構えている。

グーグル系のウェイモの車両は、シリコンバレーではほぼ完璧な自動運転を達成したが、アリゾナ州で実施中のテストでは、様々な問題に直面している。ヤンデックスは、これまでモスクワやテルアビブで走行テストを重ねており、その結果、ごく短期間でラスベガスでの走行実験を成功させた。

ここから見えてくるのはヤンデックスが、自動運転車が直面するリアルな課題を克服し、競合らの一歩先を行くテクノロジーを実現した可能性だ。

現代モービスとの提携を獲得したことで、ヤンデックスの技術への信頼度は大きく高まった。ウーバーやアップルなどのテック界大手らが、信頼度の高い自動運転ソリューションを探し求めるなかで、ロシア製の自動運転テクノロジーであるヤンデックスが、その候補に躍り出た形だ。

編集=上田裕資

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