国境は知っている! 〜ボーダーツーリストが見た北東アジアのリアル


ロシア人はたいてい最低2週間くらいビーチに滞在し、特別何をするでもなく、のんびり過ごす。そんな休暇のスタイルを好むという。ロシアで出会った人たちと話をしていると、家族でタイやベトナムに行った写真を見せられることが多い。

だが、日本はロシア人にとってリゾート的な位置付けの国ではない。2000年代中頃、原油価格の高騰で好況を迎えたロシアの富裕層が銀座の百貨店で数千万円単位の買い物をしたと騒がれたことがあったが、もうそんな時代でもない。いま日本に行きたいと考えているのは、日本の文化を正当に評価している、ごく普通のロシア人だといってよい。

「日本の観光コンテンツの水準はロシアに比べてずっと高いと思う。どの地方に行っても観るべきもの、やるべきおもしろいことがある。ミシュランの星付きレストランが多いことも、ロシア人は知っている」

そう日本を高く評価するストレブコーワさんだが、ロシア人にとって日本はまだ旅行費用の高い国であること。そして、日本に関する情報が圧倒的に足りないことが目下の課題だという。

「私がよく日本人から言われるのは、ロシアは寒い? ウォッカが好き? そんなステレオタイプな質問ばかり。同じように、ロシアでも、日本といえば、いまだにアニメやマンガ、サムライ、芸者というイメージしかない。最近はロシア人のブロガーもいて、それぞれ日本のことを発信しているが、内容はバラバラで、日本のいまを的確に伝える情報は少ないと思う」


来日したロシア人イラストレーターMAX GOSHKO-DANKOV氏がデザインした13号の表紙はポップでカラフル

ストレブコーワさんが制作しているロシア語メディア「KIMONO」は、2018年1月に創刊されたカルチャー誌で、モスクワやサンクトペテルブルクなどの書店で販売されている。

編集長のエカテリーナ・ステパノヴァさんによると、同誌は2016年10月にオンラインマガジンとしてスタート。毎号ワンテーマ式の編集で、日本を訪れた著名なロシア人や日本の文化人などのインタビュー、旅行、フード、ファッション、美容などに分かれた誌面構成になっている。読者の70%は20代から40代の女性だという。

「日本在住のロシア人ライターたちの体験と印象を含めて、先入観のないありのままの現代日本を紹介する媒体づくりを進めている。ロシア人が関心のある日本情報に絞ることを編集方針の要にしている」と彼女は話す。 

文=中村 正人

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