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フリーライター/エディター




中山はこう語る。実際、MISでは文具メーカーであるキングジムの電子ペーパーを搭載したアラーム付きメモ帳「kakumiru(カクミル)」が目標金額1000万円を集められるかどうかで製品化を決めるプロジェクトをサポートした。

MISではキングジムの文具が持つ「アナログ感」と電子機器が持つ「デジタル感」の魅力を伝えるプロジェクトページの価値設計、ページ作成などを支援。結果、1300万円を超える支援を達成し、一般販売前に1050人の顧客を獲得した。

「価値ある新製品や新コンテンツ、新店舗が最も生まれる場所」でありたい

遅くなったが、冒頭の問いに戻ろう。Makuakeをクラウドファンディングという枠組みで捉える必要はないという中山。では、彼にとってMakuakeはどのような存在なのか。

「新製品が初めて世間にお披露目される場所だと思っています。その意味では、本当の競合はメディアや展示会なのかもしれませんね」

これまでの製品開発フローでは形にならなかったアイデアが集まり、それに期待する人々が支援することで世に羽ばたいていく。その意味でMakuakeはすでに、これから市場で活躍する製品を最初に目にできる場になっている。

もう一つ、中山がMISを通して感じるのは、日本企業の優れた技術力だという。日本企業はかつてのような独創性のある物づくりができなくなっているという見方も広まっているが、「そんなことは全くありませんよ」と笑う。

「世界的なテクノロジーの祭典であるCESにもMakuakeブースを出しましたが、海外の聴衆も日本の大企業の技術力には驚いていました。JTの『呼吸とリラックスに関する研究』など、いまだに海外企業が真似できないテクノロジーを生み出す企業はたくさんあります」

ほかにはない技術が、消費者にウケないかもしれないという理由だけで日の目を見なかったケースは、おそらくこれまで無数にある。Makuakeがいままでの製品開発とは違ったプロセスを提供することで、これまで価値を見出されなかった技術に新たな視点が投げかけられるかもしれない。



「何がヒットするかわからない時代だからこそ、既存の大規模資本主義のロジックだけで技術が失われてしまうのはもったいない。誰かが可能性を見つけ、アクションできるものはなるべく残ってほしいんです。

これからもMakuakeは、『価値のあるものが最も生まれやすい場』を目指したいと思っています。これから生まれるべきもの、広がるべきもの、残すべきもののために人々が注力できる社会インフラです。まだまだ世の中には、より良いアイデアの結びつき方があるはず。それを模索していきたいですね」

文=野口 直希 写真=小田駿一

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