おままごとの一歩先へ 子どもの金融教育に役立つフリーマーケット

(Ariel Skelley / Getty Images)


もし子どもたちが積極的にフリーマーケットの売り手側になりたいと言うならば、絶対にお金の動きを全てノートに記録させていくことをお勧めする。

これから売ろうとしている物はいくらで買った物なのか。フリーマーケットではいくらで売れたのか。買った値段と売った値段の差額はいくらだったのか。これを記録することで、簡易的ではあるが会計でいうところの損益計算書(P/L)が完成できる。

ただし、ひとつ気を付けなければいけないのは、従来の損益計算書(P/L)の考え方とは違うという点である。このフリーマーケットの場合だと、売値が買値を下回るのが確定しているため、ビジネス感覚を身に付けさせるのには不向きである。そのため、フリーマーケットでお金の動きを可視化して、感覚として「売上高-コスト=利益」という考え方が身に付いたようであれば、通常のおままごとを少しレベルアップさせるようにしてもいいだろう。

正直なところ、大人でも経理部に配属されたり、自分で会社を立ち上げたりなどしないと、あまり帳簿をつける機会はないため、ビジネス上のお金の動きを可視化する作業をしたことがない人がほとんどだ。これを機に、子どもと一緒にお金の動きを可視化するという作業を遊びがてらしてもいいかもしれない。

循環経済の考え方も持たせていこう

実はこのフリーマーケットで学べることは、お金の動きを可視化して損益計算書(P/L)の概念を理解できるようになること以外にもある。それは循環経済という考え方である。

OECD(経済協力開発機構)が発表した『The Global Material Resource Outlook to 2060』によれば、これから世界の⼈⼝は急増し、2060年に向けて100億人に達するという。そして、⼀⼈当たりの所得平均は現在のOECD諸国の⽔準である40,000米国ドルに近づくため、それにともなって世界全体の資源利⽤量が現在の90ギガトンから、2060年には167ギガトンにまで増加すると予測されている。

このような状況下、何も手を打たずにいると大量の資源が消費され、天然資源は枯渇し、自然破壊や廃棄物の大量発生などが生じてしまう。そこで、より安定的な経済活動を維持させようと考えると、リサイクルがひとつのソリューションとなる。

お金の勉強だけでなく、「いらないから捨てる」のではなく、自分はいらなくても必要と思う人がいれば売ってあげるという経済活動を通じて、循環経済の発展にも寄与できる素晴らしい機会を子どもには与えていきたい。

連載 : 0歳からの「お金の話」
過去記事はこちら>>

文=森永康平

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事