ビジネス

2019.03.19

「東大生は変人であることが強み」SXSWに出展した7つの東大発プロジェクト

SXSWの見本市に出展した「TODAI TO TEXAS」

「東京大学の学生は賢いというより、変わっています。そんな学生たちが輝ける場所こそがSXSWなのです」

テキサス州オースティンで3月17日に閉幕したビジネスとクリエイティブの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)」で、「TODAI TO TEXAS(トーダイ・トゥ・テキサス)」の共同創設者、菅原岳人はこうピッチをスタートさせた。

TODAI TO TEXASとは、東京大学産学協創推進本部が主催する、東京大学発のスタートアップやプロジェクトチームをSXSWへ出展することをサポートするプロジェクト。2014年から始まり、2017年にはハイテク義足「BionicM(バイオニックエム)」が「SXSWインタラクティブイノベーション賞学生イノベーション部門」を受賞した実績をもつ。

2019年、国内選考を通過して見本市に出展、「ヒルトン オースティン」の会場でピッチを行った7つのプロジェクトを紹介する。

起床前に朝食を用意してくれる「Loraine(ロレイン)」

「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で朝食を作ってくれるマシンが出てきましたよね。あれが欲しくて、作ってしまいました」。ピッチ冒頭でチームリーダーの宮武茉子が述べたように、ロレインは映画で観たマシンそのもの。ちなみに、ロレインは同映画の主人公、マーティの母親ロレインに由来する。

アプリと連動した朝食ロボットが、ユーザーが朝起きる前までに事前に予約したコーヒー、トースト、目玉焼きなどの朝食メニューを用意する。今年の春から、実証実験をスタートするという。

タバコをいかした接木技術で農業に革命を「Grand Green(グランドグリーン)」

タバコ属の植物を媒介して、あらゆる植物の接木をさせる特許技術「iPAG技術」を生み出したのが、グランドグリーンだ。iPAG技術は、約10年かかると言われる品種改良を約2年まで短縮することを可能にする。

接木は、形質の異なる植物をつなぎ合わせることによって、味を変化させたり、耐病性を強めたりする、作物の栽培で広く用いられている農業技術のひとつ。これまで、同系統の植物間でのみ成立する技術だったが、iPAG技術を用いることで、ほぼ全ての植物間で接ぎ木が可能となる。グランドグリーンでは、接木作業を自動化する技術の事業化も計画中だ。

言語の壁を超えて日本の漫画を世界に「Mantra(マントラ)」

創業者、石渡祥之佑率いる漫画が大好きというチームが開発したのが、漫画専用の翻訳技術。日本語で書かれたマンガのページをスキャンすることで、吹き出しを検出、文字を認識して翻訳する。

現在、様々な翻訳技術が存在するが、マンガに特化したものはマントラが初。将来的には、マンガを世界で読めるようになる、サブスクリプション型のサービスを展開することも視野に入れているという。
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文=守屋美佳

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