#MeToo運動の先駆、米最高裁判事の若き日を描いた伝記映画

ルース・ギンズバーグ役のフェリシティ・ジョーンズとマーティン・ギンズバーグ役のアーミー・ハーマー((c)2018 STORYTELLER DISTRIBUTION CO. LLC.)



(c)2018 STORYTELLER DISTRIBUTION CO. LLC.

ハリウッドの女性監督は8%


法律家としてのルース・ギンズバーグの闘いは、いまの#MeToo運動にも繋がる。その先駆者と言えるかもしれない。ギンズバーグ最高裁判事は、#MeToo運動について尋ねられ、こう語っている。

「運動が起こるのは時間の問題だった。あまりに長いあいだ女性たちは沈黙し続け、自分にできることは何もないと考えてきた。いまや素晴らしいことに、法律はハラスメントを受ける人々の側にある」

近年広がる#MeToo運動の流れのなかで、ハリウッドで活躍する女性監督が少ないということが話題となっている。 2018年公開のハリウッド作品でいえば、興行収入上位250位のなかで、女性が監督したものは全体の8%、前年の11%から少し下がった。しかもその比率は20年前の9%とほとんど変わっていないという(サンディエゴ州立大学「テレビ・映画業界の女性研究センター」調査)。

映画業界では、昔ながらに女性の力が過少評価されているという意見もあるが、「ワンダーウーマン」のパティ・ジェンキンス監督や「キャプテン・マーベル」のアンナ・ボーデン監督など、これまであまり活躍が見られなかったアクションヒーロー作品への監督起用も、実はこのところのトピカルな現象のひとつだ。

この「ビリーブ 未来ヘの大逆転」も女性監督ミミ・レダーの作品だ。彼女はルース・ギンズバーグの物語に、自分との絆のようなものを感じたという。

「私自身もこの業界のなかで差別を体験してきて、一所懸命、闘ってきた。彼女と私が辿ってきた道のりには、共通点があると感じた。ルースは実に革新的で、影響力のある人物。なので、私は、彼女が実在の人物だということを作品のなかで見せることに力を注いだ」


(c)2018 STORYTELLER DISTRIBUTION CO. LLC.

ちなみに、ルース・ギンズバーグ判事のドキュメンタリー映画も、まもなく日本で公開される(アメリカでは昨年5月公開)。タイトルもずばり「RBG 最強の85才」(原題は「RBG」)。トランプ政権の動向とともに、アメリカ国民から愛称で呼ばれる彼女の今後の動向にも目が離せない。

連載 : シネマ未来鏡
過去記事はこちら>>

文=稲垣伸寿

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事