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2019.03.20

1998年の歓喜をもう一度、横浜の街に。黄金タッグが再び、手を組んだワケ

創設70年を記念し、歴代のユニフォームデザインをモチーフにした特別ユニフォームを着用する山崎康晃(左)と筒香嘉智(右)



マルハニチロ広報IR部の阿部富寿夫部長

そんな中、鐡営業部長が来た時にピンときました。ベイスターズと一緒に何かすれば社内外のブランディングに良いのではないか、と。鐡さんからの提案をもとに、社長に話を持っていったときも二言返事で「いいじゃないか」と言っていただきました。

ただ単に70周年となる今年だけのスポンサーになるのではなく、社員が何をやりたいかいうのに答えることがきっかけとなりました。
 
──横浜DeNAベイスターズ側としてはどのような思いでのパートナーシップだったのでしょうか。
 
:横浜DeNAベイスターズとしては7年を終え、70周年というアニバーサリーイヤーをどう盛り上げていこうか、社内で考えていました。私達の会社にも大洋漁業、TBS時代の社員がいて、そこにDeNAから集まった人達もいます。親会社が3つある中でその時々に集まってきたメンバーで会社の運営をしています。
 
私達には「継承と革新」というコーポレートアイデンティティーがあります。新しいメンバーと昔から築き上げてきたメンバーで一緒になって、古きを大事にして新しいことに挑戦していく会社です。
 
70周年に何をやろうかという話になって歴史を調べた時、53年間という長い期間を支えて頂いたのはマルハニチロでした。「マルハニチロと共に70周年を作っていくべきなのかではないか」と社内の機運があがっていったんです。
 
とはいえ、オーナー企業だったのは過去の話。現在はマルハニチロとのルートはなく、正直少し疎遠になっていました。当時から働いている大先輩に「繋いでくれないか?」と頼み、まずはコンタクトをとってもらいました。アポが取れ、初めて伺った時にお会いしたのが阿部部長でした。
 
正直、どういう反応をされるのかすごく心配でした。マルハニチロは53年間大切に育ててきた球団を手放されて、新たな道を進まれていて。一方、私達はその後、TBSから球団を承継させていただきました。その間というのはあまりリンクしないところもありますので、マルハニチロの今の考えに対しては少し不安もありました。
 
本当に恥ずかしい企画書を持って行ったんですけども、阿部さんから「この企画は良いのではないか」と言っていただけて。そこでも会社の課題や思いなどヒントをいただきました。


横浜DeNAベイスターズ事業本部営業部長の鐡智文

営業が上手くいったことよりも、大先輩であるマルハニチロと意思疎通できたことが凄く嬉しかったんです。時間もなかったのですが、会社で話を通すための資料をつくるために一度持ち帰り、企画をブラッシュアップすることにました。
 
正直これだけの取り組みになるとは想像つかなかったです。当初、社内で考えていたのは3月10日のオープン戦でマルハニチロと一緒に何か出来たら良いなという気持ちでした。ただ、色々な企画を詰めていくと、球団70年のうちの53年はマルハニチロが築いていたので、全てを一緒にやっていきたい思いに変わっていきました。

「継承と革新」を踏まえた、球団の新たな一手

──2018年シーズン横浜DeNAベイスターズは200万人の観客動員を記録しました。6年間でファンも付いてきて、色んな施策を打ってきて、一体となってきた中でマルハニチロとの取り組みは驚きの一手だったように思います。
 
:私は野球のプレーやゲームも好きですが、野球のいいところに色んな世代の方と共通言語で話せることだと思っています。今は小さい子どもたちが色んなスポーツを選ぶようになってきていますが、まだまだ会話のきっかけに野球もあげられる。そのツールとしても良いなと思っていて、会社としても歴史を大切にしようと掲げています。
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文=新川諒 写真=小田駿一

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