1964年東京五輪の大開発により姿を消した日本橋の町並みと人々の営みが、2020年東京五輪を目前に、最先端のデジタル・テクノロジーによって東京一老舗の劇場にてよみがえる――。
明治座は、創業145周年を記念し、幻想的な光のデジタルアートで知られるチームラボと共同制作した「デジタル・テクノロジーを用いた動く新緞帳(どんちょう)」を4月11日より劇場に公開する。
東京一古い劇場『明治座』とは
昨年、創業145周年を迎えた東京最古の劇場・明治座は、1873(明治6)年に「喜昇座」の名前で開場。関東大震災や太平洋戦争など、幾度の消失・再建を経て、創業120周年の1993(平成5)年に新装開場し、現在に至る。
その長い歴史から、明治座に伝統的で古風な印象を抱く人は多いだろう。そんなイメージとは裏腹に、明治座は創業以来、常にその時代の新しい作品取り入れてきたと、明治座宣伝部の松林萌さんは語る。
「お客様のニーズと時代の流れに沿いながら、作品を提供する。革新という精神は創業当時から常にあります」
創業当時は画期的だった新派や新劇をはじめとし、芸能人や演歌歌手の座長公演、最近では2.5次元ミュージカルなど幅広いエンターテイメントを提供している。今ではどの劇場でも当たり前に取り入れられている、座席番号付の切符販売を日本で初めて導入したのも明治座と言われている。
「舞台作品への感動と、それに付随する体験の提供。《感動こそが商品》という理念が明治座にはあります」
同じく宣伝部の眼目大一(さっかひろかず)さんが胸を張って言うように、明治座のこだわりは舞台上の作品に留まらない。豪華な幕の内弁当など、作品自体への感動だけでなく、明治座に滞在する1日のすべてが特別な体験となるような工夫が劇場の細部にいたるまで施されている。
すべてはお客様の感動体験のため。常に新しいものへの挑戦を続けるその姿勢は、社風にも現れている。部門を超えてフィードバックやディスカッションを行う風通しの良さや、常に革新を追い求めるよう部下に働きかける上司の存在などが、お客様の生の声を反映する作品作りを実現している。
「145年間、常にこのような社風であり続けたからこそ、今でも明治座のお芝居を皆様に楽しんで頂けているのかもしれません」(松林さん)