世界最大の3D祭りで感じた「ものづくり」のオープンイノベーション

SOLIDWORKS CEO ジャン・パオロ・バッシ(写真提供=ダッソーシステムズ)


3DCADにコネクトするテクノロジーが展示

展示ブースでは、プラグインでSOLIDWORKSにコネクトするAR/VR等のソフトウェア、廃棄物の出ない革新的なフルカラー3Dプリンター、生産設備の機器、移動式コンテナラボなど、“3Dのクリエイティブを拡張する”プログラムが展開されていた。

さらに、趣味の延長で製作されたというミニチュアスケールのジェットコースターや、アーティストの作品の展示もあり、3Dエンジニアが多くのインスピレーションを得ていた。


SOLIDWORKSにコネクトされたVR体験ブース(写真提供=ダッソーシステムズ)

メインプログラムでは、ジャック・ドーシーとともにスクエア社を創業したジム・マッケルビーの講演や、起業家によるコンテスト形式のピッチも開催。会場は大いに沸いた。

また、会場では夕方になるとサパーとビールやワインが振る舞われ、隣接するホテルのレストランやバーでは、毎晩宴が開かれ、参加者たちが深夜まで飲み語らっていた。

ソフト連携とクラウドソーシングを強化

今回、SOLIDWORKS側から発表された大まかな方向性を言えば、3D設計ソフトウェアであるSOLIDWORKSは今後、そのスペシャリティを高めながら、3DEXPERIENCE.WORKSとの親和性を高める。そこでダッソー・システムズが他ブランドで展開する流体や応力などのシミュレーションソフト、生産管理ソフト、プロジェクト管理ソフトとの互換性・接続性を高めるという。

企画、3D設計、試作、シミュレーション、生産、管理、ユーザーとの共有までを、単一のデジタルモデルと一元管理されたデータベース上で行えるため、日本語でいう「ムリ・ムダ・ムラ」が大幅に削減される。

同時に、クラウド上で利用できる機能を拡張していく。複雑な一部の機能を除けば全てクラウド上で完結できるようになる。離れた場所でエンジニアが同時に一つのファイルを操作しながらものづくりをしていくリモート・セッションも容易になる。生産性とクリエイティビティが同時に飛躍的に高まるという。


SOLIDWORKS WORLD 2019展示会場(写真提供=ダッソーシステムズ)

SOLIDWORKS WORLD 2019を一言で表現すれば、「3Dのお祭り」だった。日本のように、企業内にドメスティックに技術や知見を貯めようという雰囲気は全くない。日本では競合とされるはずの同業者が一つのブースで一緒に展示していて、“ぎこちなさ”や“探り合い”も感じられない。

世界の3Dエンジニアは、仲間を増やしながら、オープンイノベーションを自由気ままに行っているようだ。日本はどうだろうか。

文=嶺 竜一

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