マネジメント会社IMGにテニスと大坂と錦織が果たす役割

大阪なおみ(Photo by Marek Janikowski/Icon Sport via Getty Images)

プロテニス選手のノバク・ジョコビッチと大坂なおみは、昨年9月の全米オープンと今年1月の全豪オープンで優勝し、グランドスラム(4大大会)のうち2大会を続けて制したチャンピオンだ。

男女双方の大会で、同じ選手が一年のうちに連続で大会を制覇したのは、ほぼ四半世紀ぶりだ(前回は1995年、男子はピート・サンプラス、女子はシュテフィ・グラフ)。

31歳のジョコビッチはグランドスラム通算15勝、21歳の大坂は同2勝と、2人はプロテニス選手として、それぞれキャリアの異なる段階にある。だが、一方で2人はどちらも、大手マネジメント会社IMGのマーケティング部門にとってのスターだ。

マーケティングにおける大坂の力が爆発的に高まる中で、IMGはここ数カ月、テニスコートの外でも幾つもの勝利を収めている。

同社は2月にトップランクの女子プロテニス選手、米国のスローン・スティーブンスと契約。フロリダ州にあるハードロック・スタジアムで3月18日に開幕するマイアミ・オープンを主催するほか、世界各地でその他19のイベントの運営を手掛ける。

多数のトップ選手と契約

IMGがマネジメントを担当するクライアントにはその他、錦織圭やマリア・シャラポワといった数多くの企業とスポンサー契約を結んでいるテニス選手がいる。

だが、IMGは現在の栄光に満足するつもりはない。大幅な利益の伸びが見込めるアジア市場で、さらなる事業拡大を目指している。

IMGテニスのバイス・プレジデントであり、代理人としてシャラポワや中国の元トップ選手、リー・ナ(李娜)の成長を見守ってきたマックス・アイゼンバッドは、「5~6年後には、女子テニスのランキングの100位までに中国人選手10人が入っているかもしれない」と語る。

同社がアジア地域に成長の種をまいたのは、およそ50年前だ。その後、李と錦織を担当してきた経験は、現在のマーケティングにおける大坂の影響力の急伸にもつながっている。

錦織にはグランドスラムでの優勝経験はない。それでも日本人の歴代テニス選手の中で最も優れたプレーヤーとしてのその地位は彼を、企業が最もスポンサー契約を結びたい選手にしている。

現在すでに十数社と契約しており、年間のスポンサー料収入はおよそ3000万ドル(約33億47000万円)に上る。テニス選手のうち、コートの外で錦織以上の収入を得ているのは、グランドスラム通算20勝のロジャー・フェデラーだけだ。
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編集=木内涼子

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