クルードラゴンは8日の午前8時45分に大西洋に着水し、「Demonstration Mission 1(DM-1)」と呼ばれた今回のミッションが終了した。1週間近く宇宙にとどまり、無人で国際宇宙ステーション(ISS)に物資を輸送した。
「アメリカやスペースX、NASAのすべてにとって今日は素晴らしい日となった」とスペースXで有人飛行を担当しているBenji Reedは述べた。「(クルードラゴンは)ISSにたどり着き、ミッションをこなしただけでなく、無事に帰ってきてくれた」
今回のミッションは有人飛行ではなかったものの、約180キロの物資をISSに届けることに成功した。3月2日にフロリダのケープ・カナベラルから打ち上げられたクルードラゴンは、翌3日にISSに到着した。
積み荷の中には微小重力状態に入ったことを示す地球の形のぬいぐるみ「リトルアース」もあり、これはお土産としてISSに残していった。
スペースドラゴンは、8日の午前2時32分にISSを離れて地球に向かった。再突入の際にエネルギー源となる太陽光電池とラジエーターを備えたトランクは分離され、その後スラスター(推進装置)を15分間にわたって噴射して帰還の軌道に乗った。
クルードラゴンは大気圏に突入し、着水の4分前に減速用パラシュートを展開した。その後、4つの大型パラシュートを開いて大西洋に着水した。
今回のミッションで、クルードラゴンは2つの難関を突破する必要があった。大気圏に突入後に回転しないか、そして4つのパラシュートを正しく展開できるかというものだが、いずれも問題はなかった。
数カ月後にはついに有人飛行に挑戦
クルードラゴンは約136キロの荷物を持ち帰ってきた。そこには、宇宙服を着てセンサーを装着したマネキンの「リプリー」や、ISSの実験器具、数年前に問題を起こした宇宙服の一部などが含まれていた。
2人の宇宙飛行士を乗せる、初の有人飛行は早ければ今夏にも行われる予定で、今回のミッションはその予行演習的位置づけだった。6月には緊急脱出システムの試験も予定している。
2011年7月に最後のスペースシャトルが打ち上げられて以降、米国から有人の宇宙船は打ち上げられていなかった。NASAはそれ以降、スペースXとボーイングに巨額を投じ、人類を宇宙に運ぶ民間宇宙船のプロジェクトを加速させてきた。ボーイングの有人宇宙船「スターライナー」の初テストも2019年中に予定されている。
さらに、今回のクルードラゴンが達成したもう一つの歴史的偉業が、約50年前の1969年のアポロ9号以来、初めて有人宇宙船を大西洋に着水させたことだ。スペースXが人類を宇宙に送る日は数か月後に迫っている。