ビジネス

2019.03.14

イーロン・マスクが見せたCEOの資質 信頼を高めた「方針転換」

テスラ CEO イーロン・マスク(Nora Tam/South China Morning by Getty Images)


マスクはテスラに不可欠

マスクの行動は多くの人に、彼のメンタルヘルスに関する疑問を抱かせてきた。率直に言って、自分は正しく世界がおかしいと確信している人のほとんどは、どうかしている。それでも、マスクはEVに関しては、自身が正気だったことを証明している。

実際のところ、テスラに多くの潜在的な利点があるのは、マスクは間違っていると考える人がいまだに大勢いるからだ。多くのアナリストや(空売りをする)ショートセラーたち、米証券取引委員会(SEC)の職員らが、テスラの運営の仕方はマスクより自分たちの方がよく分かっていると思っているのは、驚くべきことだ。

SECがマスクに辞任を強いたとすれば、それがどの投資家を守ることになるのか、筆者には分からない。テスラを経営できる人は、他にはいないからだ。新しいCEOが安心して仕事を引き継ぐためにどれだけの損金を処理しようとするか、その規模を考えると身震いがする。そのような「保護」は欲しくない。

マスクのように大きく、大胆な変化を起こそうとしているCEOは、未知の海域を航行する船長のようなものだ。間違いを犯すことはあるだろう。

顧客により良いサービスを提供するための大きな変化を起こすことは、企業がいかに株主に多大な利益をもたらすかということでもある。大きな利益を求めて投資するなら、自分は絶対に間違わないと主張するCEOよりも、すぐに自ら間違いを正せるCEOを選びたい。

投資に関する判断が優れていたかどうかは、振り返ってみれば容易に理解することができる。だが、決断を下すそのときに必要なのは常に、信頼に基づいた賭けだ。そして、その賭けをするために重要なのは、観察をすることだ。

編集=木内涼子

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