女子の気持ちの代弁者 あいみょんとダイバーシティと

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SNSで「キメ顔ばかり投稿する人は痛い」という風潮が一般化し、それまではこぞって素敵な場所でポーズをとっていた有名人が、スーパーや自宅などで飾らない素の自分を投稿するようになったのは、もう数年前のこと。

「いつでも完璧な人」ではなく「ダメなところもあるけど隠さない人」が愛されるのが、今の時流です。 

ただ、あいみょんはエッジィでは終わりません。本人はメディアで「スピッツが好き」と話しているのですが、言われてみると確かにスピッツに通じるものを感じさせる、どこか懐かしい、世代を超えて愛される爽やかなメロディが流れる。激しく、時に共感して良いものか頭を抱えてしまう歌詞に、風を感じるような爽やかなメロディ。その稀なバランスが、万人に愛される素養だと踏んでいます。

また、「気だるさ」も今らしさ、あいみょんらしさを表すキーワード。例えばテレビ番組で、歌詞への共感が話題になっても、「背中を押してくれる気がする」というファンに対し、「そう受け取ってもらえたのであれば」「私は自分が好きな音楽をやっているだけ」と、あくまでご本人は冷めています。

自分の曲で誰かを救いたいとか背中を押したいとか、そうした熱い感情とも無縁で、変な気負いがない。その温度感がまた心地よく、今の時代に合っているのでしょう。

みんな違って、みんないい。ダイバーシティやインクルージョンが叫ばれ、互いを受容し包み合おうという流れが今、世の中で着実に形になってきていて、その流れの中で支持を集めたのが、あいみょんなのだと思います。

互いを認め合える強さを手にした女子は、もっと自分をとがらせたまま飛躍できる。エッジィが、大勢に愛される時代、各分野での女子の活躍に、より拍車がかかりそうです。

連載 : 経済を動かす「女子」の秘密
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文=山田茜

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