同社の代表取締役CEO後藤道輝氏が考える起業家としての素養や事業立ち上げのポイントについて、Venture Navi 編集長であり、同社の社外取締役も務めるドリームインキュベータの下平将人が聞いた。(全5話)
本気で「ノーベル賞」を目指す
下平:「資金の偏りによる機会損失のない世界を創造する」というビジョンについてあらためてお聞かせください。
後藤:私はこれまで一貫して「将来価値が高いのに、現在価値が低いサービス・人たちを支える」ことを仕事として行なってきました。まだ世に出ていない良いサービスや人を支え、一緒に成長していくことにやりがいを感じるからです。
例えば中学時代には自分で同好会を立ち上げるほどヒップホップが好きだったのですが、その中には「フックアップ」という、「有名なダンサーが無名なダンサーを引き上げる」文化があります。いま思うと、そういう文化が好きだったんだなと感じます。
投資家をやっていたときも、実績のあるレイターステージのベンチャーに投資したいとは思ったことがなく、無名のシード・アーリーステージ向けに投資したいと常に思っていました。私にとっては「Payme」の給与即日払いサービスはマイクロベンチャーキャピタルです。学生に300万円を出資して起業してもらうベンチャーキャピタルと、「Payme」が3万円を前渡しして免許合宿に行ってもらうことは、本質的な構造は変わらないと考えています。
「Payme」のサービス提供を通じて、導入企業の従業員満足度向上と離職率低下に貢献すると同時に、将来価値の高い10代20代の若者が、健全な消費活動と資産形成できる世界づくりに貢献していきたいと思っています。
下平:「Payme」の最終的なゴールイメージは何かお持ちですか?
後藤:上場は通過点で、最終的なゴールは「ノーベル賞」をとりたいんです。
下平:それは大きなゴールですね!
後藤:グラミン銀行(バングラディッシュのマイクロファイナンス機関。2006年にノーベル平和賞を受賞)がとれるんだから、決して不可能ではありません。もしノーベル賞がとれたら、上場している会社よりレアですし、メンバーも誇りが持てますよね。
ペイミーも新しいマイクロファイナンスのフォーマットとして、世界的に認められる会社になりたいと思っています。その大きなゴールに向けて事業を前に進めて、1人でも多くのユーザーに、価値を提供し続けていきたいと思います。